蟻地獄は成虫になると「ウスバカゲロウ」というカゲロウになります。「ウスバカゲロウ」は4枚の透き通った翅(はね)をした美しい昆虫です。

「ウスバカゲロウ」はアミメカゲロウ目、ウスバカゲロウ科に属しています。尚、カゲロウの命は数日間と言われていて、はかない命の代表のように思われていますが「ウスバカゲロウ」は1ヶ月以上も生きられます。

この「ウスバカゲロウ」の幼虫は、アリジゴクと言われる罠(巣)を作って獲物を待つことで有名です。

 

アリ地獄の巣_edited蟻地獄は、細かくてさらさらした土で作られています。形状は中央部を下にした、すり鉢状の形をしていて、上部の直径は数㎝(3㎝〜8㎝程度)のものです。

「ウスバカゲロウ」の幼虫は、数mmから1.5㎝程のダンゴムシのような形をしていて、頭の先端にはカギのように左右に開く大きなあごを持っています。ダンゴムシに似ていますが、全身土色をしていて土と同化するような保護色をしています。

幼虫表_edited

最近はあまり見なくなりましたが、アリ地獄は乾いたさらさらの土がある民家の軒先等にあります。

この幼虫は、土を掘ってあごで土を外に放り投げて巣を作ります。このようにして作ると、すり鉢の中心部には軽くて細かい土が残り、周囲には少し粒の荒い土が飛ばされて形成されます。

この罠(巣)が出来上がると、幼虫は巣の中にもぐって獲物がくるのを待ちます。

このすり鉢状の罠に蟻等の小さな昆虫が一歩足を踏み入れると、滑って中心部に落ちます。獲物は必死になってすり鉢を駆け上がろうとしますが、さらさらした土のため、上がることができません。そして、土の振動を感知した「ウスバカゲロウ」の幼虫は、大きなあごで獲物を土の中に引き込み体液を吸い取ります。

尚、すり鉢状の罠に落ちた獲物は何もなければ、何とか逃げ出すことはできますが、「ウスバカゲロウ」の幼虫は、あごで土を飛ばして逃走を妨害します。

この蟻地獄のすごい所は、自分は安全な土の中にじっとしていてエネルギーを使わないようにしています。そして、獲物が来たら自分の姿をさらさないで、獲物を得意な土の中に引き込んで確実にしとめるという戦法で処置するところです。

獲物が罠にはまるのを辛抱強く待たなければなりませんが、リスクを最小限にした最強の罠だと思います。