マメ科の花は、まるでチョウが羽根を広げたような複雑で美しい形をしていて、「蝶形花(チョウケイカ)」と呼ばれています。

実は、この「蝶形花(チョウケイカ)」には、昆虫を呼び込む工夫があります。

蝶形花(チョウケイカ)の特別な構造

蝶形花(チョウケイカ)の上部には大きな2枚の旗弁(きべん)と呼ばれる花びらがあります。この旗弁(きべん)は、受粉のためにやってくるハチの目印の役目をしています。

そして、花の下側には、舟の形の舟弁(しゅうべん)と呼ばれる花びらがあります。

花にやって来たハチが、蜜を吸うために舟弁に足をのせるとハチの重みで舟弁が下がる構造になっています。

そうすると、花の側面にある側弁(そくべん)と呼ばれる花びらによって、誘導されるようにして花の奥に入っていき、ハチは受粉に貢献することになります。

ポリネータの虫を拒絶するエンドウの花

エンドウは、マメ科ですから、当然、チョウの羽根のような「蝶形花(チョウケイカ)」です。
そのため、ハチの目印になる大きな2枚の旗弁(きべん)や、花の下部の舟弁(しゅうべん)もありますが、例えハチが来て、舟弁(しゅうべん)にのっても舟弁は下がりません。

つまり、エンドウはポリネータの役目をしてくれる虫を拒んでいます。

ポリネータたちが送粉をしてくれるおかげで、植物は同種の他の個体と交配ができます。そのため、タイプの異なる子孫を残すことができるのですが、エンドウはそれを拒んで自家受粉を選んだのです。

自家受粉を選んだエンドウの特殊な事情

自然界では、環境条件が時と共に変化するため、様々な環境条件に適応した子孫を作って生き残りを図ろうとします。そのため、ポリネータたちからの送粉は必須です。

ところが、エンドウは人によって品種改良が進められた植物で、人に守られて栽培されています。そのため、自然環境に適応するよりも、人が望んでいる性質を子孫に伝える道を選んだ方が得策です。

このような事情があるため、エンドウは、ポリネータを拒んで自家受粉を選んだと考えられています。

つまり、エンドウはポリネータの昆虫たちの為ではなく、人の為に花を咲かせている植物です。

マメ科では、エンドウと同様に自家受粉をする「スイートピー」があります。「スイートピー」もエンドウと同様、人によって改良が進められました。

このような事例をみると、植物たちは子孫を残すためなら、小さなこだわりに縛られないで、貪欲に生き残る方法を選んでいるように見えます。

植物の強い生命力を感じました。