日本に飛来した白鳥の多くは、河川や湖、海近辺で過ごしますが、午前10時ごろまでに、餌場となる水の抜かれた水田などに移動するようです。

水田は、通常の方法では米収穫後に水がない状態で放置されますが、環境対応や営農活動の観点から冬期の水田に水をいれた状態にする農法が再認識される動きがあります。

米を収穫した後の冬から春にかけて水をはることを「冬季湛水(たんすい)水田」農法と呼んでいます。

「冬季湛水(たんすい)水田」農法の利点

水をはることで、「雑草の抑制ができて農薬の使用量を減らせる」、「水田にイトミミズやカエルなどが生育できるようになり、生物多様性に貢献できる」、「水中の稲株が藻(も)の栄養になり、さらに菌類の働きで天然の堆肥(たいひ)になる」などの効果が期待たれています。

 

島根県では、試験的に導入した「冬季湛水(たんすい)水田」に多数のコハクチョウが飛来して越冬場にしたため、水田の色の変色や異臭も観察されるようになったようです。

そのため、ハクチョウの糞尿による水田水質への影響調査が行われています。

コハクチョウ飛来の水田水質への影響調査方法

調査は、島根県松江市の東南25km程のところにある穀倉地帯(安来市)の水田(3枚)で実施されました。

■調査時期

島根大学生物資源科学部によって、2006年~2008年にかけて行われています。

■調査項目

窒素・リン・有機体炭素の濃度変化

サンプルの採取頻度

週1回程度の採水

 

コハクチョウ飛来による水田水質の調査結果

水質調査の結果は、数値が大きく振れるデータでしたが、取水川の水質と比較すると、あきらかに高濃度であり、窒素の内訳は、アンモニア性窒素が70%以上を占めていて、コハクチョウの糞尿の影響であることは明確でした。

この結果は、水田の肥料にするには濃度が高すぎたようですが、調査結果の考察には、「冬季湛水(たんすい)水田」の枚数を調整することで水質濃度を調整可能と記されています。

ハクチョウの糞尿を見越して「冬季湛水(たんすい)水田」の面積を検討することで、堆肥管理が可能となり、不足しているリンの有効活用や環境悪化防止になるとしています。

島根県のその後の「冬季湛水(たんすい)水田」の動向は判りませんが、2017年1-2月には千葉県で水をはった水田に多くのハクチョウが飛来したニュースが報道されていました。

尚、ハクチョウの糞を実際に見たことはありませんが、はじめて見る人は犬の糞ほどの大きさに驚くようです。(今年の冬には是非みたいと思っています)