昆虫に触れると、小さい体の割には、思っている以上に硬いと感じることがあると思います。

昆虫の硬さは、外骨格(がいこっかく)と呼ばれるもので、体の表面を覆(おお)うことで、体を支えているからです。

 

この外骨格(がいこっかく)は、表皮から出る分泌物が固まった「クチクラ」というものでできていますが、固まってしまうと伸縮しないため、昆虫の成長の妨げになります。

そのため、昆虫は定期的に体の皮を脱ぐ脱皮をしなければなりません。

脱皮をする時の昆虫の苦労

外骨格(がいこっかく)は、昆虫には無くてはならないロボットスーツのようなものですが、サイズを変えることができないため、成長時には脱皮は欠かせません。

脱皮をした直後の外骨格(がいこっかく)は、柔らかくて体を支えられないし、外敵から身を守る鎧(よろい)の役目もしないため、身動きできません。

そのため、脱皮中や脱皮直後の昆虫は、全くの無防備状態になります。(何時、敵に襲われるか判らない自然環境の中ですから、本当に恐ろしいと思います)

体の大きいカマキリの脱皮

カマキリのように体が大きいと、脱皮直後の外骨格(がいこっかく)は柔らかくて、重力に引っ張られた体重を支えられません。

カマキリは、この問題に対処するため、木の枝や草の茎などにぶら下がって脱皮をします。もしも、外骨格(がいこっかく)が固まる前に、支えられなくなって落下すると体重で体が変形してしまいます。(カマキリの脱皮は命がけでした)

脱皮を難しくする昆虫の呼吸器官

昆虫には肺がないため、腹部にある「気門(きもん)」という穴から酸素を血液に取り入れています。

「気門(きもん)」の穴からは、細い管が枝分かれをして体の各部に入り込んでいますが、これらの表面もクチクラで作られていて、脱皮の時には新しいものと交換しなければなりません。

体が大きくなると呼吸器官も長くなるため、増々脱皮は難しくなります。

水中で生活するカニやエビ類も脱皮しますが、昆虫のような呼吸器官がないことや、水の浮力があることから脱皮した直後の柔らかい殻でも体を支えることができます。そのため、地上で生活する昆虫よりも大きく成長できると考えられています。

子供の頃、早起きして裏庭の木に登ってきたセミの幼虫が脱皮する様子を観察したことがあります。

暫くすると、薄緑色のセミが背中を反らすようにして殻から出ようとしていましたが、半分ほど出たところで死んでしまいました。

この時のセミは、とても大変な時に、人に見られながらの脱皮をしなければなりませんでした。得体の知れない恐怖で過大なストレスを受けたのだと思います。