生物の排泄物は、フンチュウと呼ばれる昆虫たち(フンコロガシ等)によって消費されているから、どこもかしこも糞だらけにならなくてすんでいると言われています。もちろん、バクテリアによって分解されて土に戻る分もありますが、それだけでは追いつきません。

その証拠に、家畜のフンチュウがいなかったオーストラリアでは、19世紀に、ヒツジや牛を持ち込んだところ、フンが散乱して大変なことになってしまったそうです。

そのため、オーストラリアでは、アジアやアフリカから家畜のフンチュウを連れてきて、糞の処理を行うことで衛生状態の改善に成功したと言われています。

もちろん、オーストラリアにはカンガルーなどの動物もいましたが、

カンガルー系の糞と、ヒツジ系の糞では、それを処理するフンチュウの種類が違ったために生じた問題でした。(本当に生態系は複雑ですね)

フンチュウの種類と役割

フンチュウは、哺乳類などの動物の糞を食べる甲虫類です。日本にも145種類のフンチュウがいると言われています。(但し、生態が判っていないものも多いそうです)

私も、子供だった頃、カブトムシの幼虫が牛の糞の中に、いっぱいいたのを見たことがあります。牛の糞は畑に積まれていましたが、糞をほじくると、真冬でも湯気がたつほど高温でした。(恐らく酸化熱だったのだと思います。)

カブトムシにとっては、暖かいエサの中に住めて最高の環境だったと思いますが、農家の人にとっても、カブトムシやバクテリアが糞を減らし、分解してくれて助かっていたのだと思います。

象の糞を食べる大型のフンチュウ

タイには、おとなしくて材木の運搬や力仕事をする象がいます。

現在は、森林保護のため国から森林伐採が禁止され、タイの象も観光用が主体になってしまったそうですが、象がいるキャンプ地に行くと、一つの塊が30㎝のほどもある、糞を見ることができます。

そんなに大きな糞をする象がいっぱいいた時代には、さぞかし大変なことになっていたのだろうと想像が膨らんでしまいますが、実はそんなことはありませんでした。

タイには、巨大な象の糞を瞬く間に片づけてくれるフンチュウがいたからです。

《オオサマナンバンダイコクとセアカナンバンダイコク》
タイの代表的なフンチュウには、「オオサマナンバンダイコク」と「セアカナンバンダイコク」という巨大な昆虫がいます。

「オオサマナンバンダイコク」のオスは、65mm、「セアカナンバンダイコク」のオスは、55mmの大きさです。彼らは、象が糞をすると直ぐに飛来して食べ始めます。

そして、その後に彼らのメスも来て糞の近くに産卵の穴を掘り始めます。メスは、象の糞を小分けして穴に引き込み、塊にした糞の中に卵をひとつずつ産んで、その周りを土で固めた糞玉にします。

卵を産み付けた糞玉は、幅50㎝、高さ20~30㎝程の産室(穴)内に数個置かれています。メスは、しばらく産室にとどまって、幼虫の食べる糞が不足すると外から糞を穴の中に入れて補う等の世話をします。

このような自然界の摂理(せつり)のおかげで地球は糞だらけにならなかったようです。それにしてもフンチュウたちの頑張りには感服します。