カラスは鳥の中でも賢い鳥と言われていますが、南太平洋のニューカレドニアに生息しているカレドニアガラスは、朽木(くちき)の中に潜んでいる好物のカミキリムシの幼虫を捕食するために、小枝等の先端を加工して幼虫を引っ張り出す道具を作ることが判っています。

カレドニアガラスと同様に、ハワイで生息していたハワイガラスも、道具を使って餌をとっていたことが判っています。尚、ハワイガラスは2002年に絶滅しています。

次にカレドニアガラスが、道具を使って餌をとるようになった理由と、道具を加工できる理由について、調べた結果を紹介します。

何故、道具で餌をとるようになったのでしょうか?

カレドニアガラスは、細長い木の枝をくちばしで挟んで、カミキリムシの幼虫が潜んでいる腐った木の穴に差し込むことで、幼虫を引っ張り出して捕食してしまいます。また、ハワイガラスを動物園で飼っていた飼育係たちは、ハワイガラスが道具を使うカラスとして認識していました。

これだけでも凄いのですが、カレドニアガラスは、朽木の穴に突っ込んだ棒の先端でカミキリムシの幼虫をつついて、棒の先端を幼虫に噛みつかせて穴の外に引っ張りだすこともします。これは、人が行う魚釣りと同じです。

本当に、凄いと思いますが、何故、カレドニアガラスやハワイガラスは、道具を使うことが出来るのでしょうか?

道具を使って餌をとるのは食料不足だったから!

道具

ニューカレドニアやハワイの平地では、カラスが食べる小さな虫は、あまりいませんでした。ところが、森には小さな虫が多いだけでなく、カラスを襲う動物(タカや蛇)もいません。ニューカレドニアやハワイの森には、虫を食べるキツツキ類がいないため、虫が繁殖していました。

そのため、カラスは森に行って虫を捕食するようになりますが、朽木の中に潜んでいる虫を捕まえるのは大変です。カラスたちは、様々な工夫をする過程で木の細い枝を使うことを見出したのでしょう。

日本のカラスも、餌を食べる様々な工夫をしています。例えば、硬くて食べられないクルミの殻を、高いところから硬い地面に落下させて、割る等の行為は多くの人に知られています。

ニューカレドニアやハワイでは、カラスに必要な栄養分が少ない環境のため、道具を使って、より多くの食べ物を捕獲することが求められたのでしょう。

カレドニアガラスは何故、道具を加工できるの?

カレドニアガラスは、木の枝を使うだけでなく、場合によっては、ヤシの木のようなパンダナスの葉を加工して虫を捕まえる道具にしていることも目撃されています。
パンダナスの葉には、ギザギザしたトゲがあります。このトゲのある縁(ふち)をくちばしで加工して木の中に潜んでいる虫を掘り出すのです。

カレドニアガラスは、何故そんなことが出来るのでしょうか?
カラスの研究者は、カレドニアガラスやハワイガラスが道具を使うことのできる理由を次のように説明しています。
鳥の眼は横方向についていますが、これらのカラスの眼は顔の前方にあって遠近感を認識でき、また、まっすぐ伸びたくちばしは、木の枝などをしっかりと固定しやすいと言っています。

さらに、国際共同研究チームは、様々なカラスのくちばしの形態を調べた結果、カレドニアガラスのくちばしは、道具を加工しやすい形に進化していることを発見しています。

カレドニアガラスが道具の加工や道具を使う理由

カレドニアガラスが道具を使うだけでなく、道具の加工までできるのは、能力が高いからだと思いますが、物を固定しやすい形状のくちばしや、くちばしで挟んだものを見やすいように、顔の横ではなく、顔の前方にある眼があるからです。

カラス類は、鳥の中でも特別知能の高い生き物として知られていますが、栄養となる食べ物が少ないニューカレドニアやハワイ島では、必要に迫られて道具を使うことで少しでも多くの餌の確保をしたのです。