夏の日の早朝、樹液が出ている木に巡り合えば、カブトムシや、クワガタムシ、カナブンなど昆虫たちが群がっている光景に遭遇できます。

しかし、雑木林をくまなく探しても、簡単には樹液がでている木はみつけられません。

クヌギは、樹液が出る木として知られていますが、樹液を出そうとしても上手く出てくれません。いったいどうすると樹液が出るようになるのでしょうか。

昆虫たちが群がる樹液って何?

樹液に群がる昆虫


樹液は、葉で光合成をした結果生まれた栄養分のことです。樹液は、木の幹の内部にある師管(しかん)という管を通して、木の各部に栄養を届けようとして流してきたものが、何かの要因で師管から漏れてしまったものです。動物に例えると傷口から漏れ出した血液のようなものです。

樹液が出続けるのは何故?

動物が傷を負えば、傷口を修復するための機構が働いて、血液を止めますが、樹液の場合は何故か止まらないで昆虫たちを楽しませてくれます。植物も動物と同じように師管の傷口をふさぐことをするはずです。ところが、長い間、樹液は漏れ続けています。

多くの木では、まだ理由は確認されていませんが、クヌギの場合は、樹液が漏れ続ける理由が判りました。ボクトウガという「ガ」や、シロスジカミキリの幼虫が樹液を出させていたのです。
シロスジカミキリの幼虫は、木の中で材部を食べて成長していますが、その過程で師管を傷つけることや、糞や木くずを外に排出するために樹皮に穴を開けています。

そして、ボクトウガの場合は、幼虫が木の内部を食い荒らすだけでなく、樹液の匂いにさそわれてやってきた昆虫も食べてしまいます。

このように、樹液が漏れ出すクヌギの木では、シロスジカミキリやボクトウガの幼虫が常駐していて、木を食い荒らすために傷口が修復されないで常に樹液が漏れ出していたのです。

樹液が出ている木にとっては、傷口を早く修復したいのに、それをさせてくれないカミキリムシやガの幼虫は、本当に嫌な害虫でしょう。しかし、樹液を食べに来る昆虫たち(カブトムシ、クワガタ、カナブンなど)にとっては、彼らがいてくれるおかげで素晴らしい夏の日を過ごすことができるのです。

樹液が出やすい時間帯はあるの?

樹液は1日中、出ていますが、出る量が増えるのは夜間です。日が沈んで光合成が終了すると、栄養分は師管で木の隅々に運ばれていくため、夜間は、樹液の量は増えることになります。

夜になると、力の強い、カブトムシやクワガタムシが樹液に群がるようになります。これは、昆虫の天敵である鳥を避けるためでもありますが、樹液が沢山出ることにも関係しているようです。

樹液を出す木が少なくて良かった!

多くの昆虫たちにとっては、無くてはならない樹液ですが、樹液を出す木にとっては、体の傷口から漏れ出す貴重な栄養分を無理やり、提供させられていたことになります。

昆虫採集をする時には、もっと樹液を出す木があれば良いと考えていましたが、昆虫が一方的に木から樹液を搾取している関係を知ってからは、種の保持バランスという点で、仕方がないと理解しました。