鳥の視力はどのくらい良いの?

猛禽類の写真

猛禽類(もうきんるい)のタカは、人の7.5倍も、物を見る時に働く細胞を持っています。これは凄いことです。単純に考えると、人が100m先の物を見る時と同じ感覚で、750m先の物を見ていることになるからです。

猛禽類は、人の7.5倍も視力が良いのですが鳥類全体で考えた場合でも、人の5倍以上も良いと言われています。では、何故、鳥の視力はそれ程優れているのでしょうか。次に、その理由を整理して紹介します。

鳥の視力がすごい理由

鳥の視力がすごいのは、眼の構造が違うからでしょう。そこで、人の眼と何が違うのかを調べてみました。

眼の構造の違い

眼の内部には網膜(もうまく)と呼ばれる眼球の内壁を覆っている膜があって、視覚器として主要な役目をしています。そして、この網膜の中には最も敏感な「中心窩(ちゅうしんか)」がありますが、この「中心窩」の数や、「中心窩」の細胞数は、鳥と人で大きな違いがあります。

また、鳥は紫外線も見ることができます。紫外線は人には見えませんが、多くのものが紫外線を反射しているため、紫外線が見える鳥にとっては、餌を探す時や、仲間の識別などに便利に活用出来るでしょう。

例えば、リンは尿の中に含まれていて紫外線を反射するため、尿の近くにいる小動物を探す助けになります。また、紫外線で鳥を見ると羽の一部が反射して明るい光が浮き上がって見えるため仲間の識別にも使えます。

さらに、ワシ、タカ、フクロウなどの猛禽類(もうきんるい)の眼には、映像を拡大する「くし状体」と呼ばれる増幅器があります。

次に、「中心窩(ちゅうしんか)」「紫外線が見える仕組み」「くし状体」について紹介します。

中心窩(ちゅうしんか)

人の眼は、「中心窩(ちゅうしんか)」を1つずつ持っていますが、鳥の眼は、この「中心窩」を2つずつ備えているため、遠くの物に焦点をあてながら、近くの物を見ることができます。しかも、鳥の「中心窩」の細胞の数は、人の6倍(120万個/単位面積)もあります。

なぜ紫外線が見えるの?

人は、赤、青、緑色を見ることができます。その理由は、眼の中に3種類の光受容錐体細胞(こうじゅようすいたいさいぼう)を持っているためです。これに対して、鳥の眼は4種類の光受容錐体細胞をもっていて、紫外線領域の波長を感知することができます。

くし状体

「くし状体」は、猛禽類(もうきんるい)が眼の中に持っている増幅装置のことです。「くし状体」は血管が集中した組織で、眼のエネルギー補給は全て「くし状体」を通して行われています。

鳥は、木々の間などを飛び回っていますから、眼に飛び込む光の角度は絶えず変化しています。そのため、周りの景色に影ができますが、「くし状体」で必要な場所に必要な栄養素を送ることで、視界を良好に保つことができます。
尚、「くし状体」は、櫛(くし)の歯のような形をして並んでいるため「櫛状体」と書きます。動くものを格子越しに見るとはっきり見えるのと同じ理屈です。

鳥がすごい視力になった理由って何?

これは、鳥が高速で飛び回るためでしょう。もしも鳥が人と同程度の視力しか持っていなかったら、飛んでいる時に衝突してしまう事故は多いでしょう。

人は、さまざまな交通ルールを作って事故の防止を図っています。また、センサーなどの技術を活用することで視力を補っています。

センサー技術や、交通ルールのない鳥の世界では、鳥の視力は、生きるための必須の機能なのです。

鳥たちのすごい視力

鳥は、中心視野の視覚に寄与する「中心窩(ちゅうしんか)」をそれぞれの眼に2個持っています。人は1つの眼に1個しかないため、中心を凝視すると、その周辺部のピントを合わせるのは難しくなります。しかし、2個持っている鳥は中心部を凝視しても、その周辺のピントも合わせることができます。

それだけではなくて、鳥の「中心窩(ちゅうしんか)」のそれぞれの細胞の数は、人の6倍もあるため、人が見ている世界よりもずっとクリアに見えることでしょう。

さらに、猛禽類(もうきんるい)では、過酷な環境でもクリアな映像を見るための仕掛けとして「くし状体」という増幅装置で、常に良好な視界を得ていました。夜行性のフクロウが暗い夜でも見ることができるのは、かすかな光を「くし状体」で増幅して見ていたのです。

このように鳥の視力は、考えている以上にすごいものでした。