海中を大空のように泳ぎ回る凄いペンギン

コウテイペンギン

コウテイペンギンを知らない人はいないでしょう。大きいものでは1.3メートルにもなる世界で最も大きなペンギンの仲間です。ペンギンは空を飛ぶことができない鳥で、短い脚でちょこちょこ歩く姿は、子供たちの一番の人気者だと思います。

子供の頃に水族館で見たコウテイペンギンは、何だか狭い場所に胸を張って直立してじっとしていたようですが、海の中では、紡錘形の体で素早く泳ぎ回り、水深250mぐらいの深海で魚やイカなどを飲み込んでしまいます。ペンギンたちにとっては、海の中は大空と同じなのかもしれません。

今回は、コウテイペンギンの生態などについて調べた結果を紹介します。

コウテイペンギンの過酷な子育て

コウテイペンギンは、ペンギンの仲間では最も大きくて、南極大陸で生息しています。そして、繁殖シーズンは、他の外敵からの襲撃をさけるために、最も過酷な秋から冬にかけて始まります。

コウテイペンギンの子育て

コウテイペンギンは、海水が凍りついた定着氷上を繁殖地に選びます。しかも波打ち際から50kmも離れたところまで歩いて行ったところで産卵します。あの短い脚で数10kmも歩くのですから大変な作業です。しかも南極の秋(3月、4月ごろ)から冬の時期の子育てです。

過酷な時期に過酷な場所で子育てをする理由は?

海から50kmも離れた所で産卵するのは、捕食者から逃れられることと、雛(ひな)が成長するまで、氷が解けないからだと言われています。それと、雛が親離れした後に自由に活動できて餌をとれる季節を確保するためかもしれません。

卵のサイズ

コウテイペンギンは、定着氷上の気にいった繁殖地に着くと求愛行動を始め、5月-6月頃に卵を1個産みます。卵は、直径12センチ、重さ450gと大きなもので、メスの体力の消耗は激しく、産んだらすぐに餌を求めて来た道を徒歩で戻ってしまいます。

過酷な環境でのオスの抱卵

産み落とした卵は、パートナーであるオスが抱卵して温めます。オスの抱卵嚢(ほうらんのう)は足の上の両足の間にあって、30℃程の温度を保っています。

しかし、周囲の環境は氷点下60℃もの極寒で、吹き飛ばされそうな風が吹き荒れている環境です。食べるものはありません(雪は水分補給になるかもしれません)。オスたちは身を寄せ合って眠るようにじっとこらえて過ごしますが、集団の周囲にいるオスは、痺れるような冷たい風で必要以上に体力の消耗が激しくなります。

このため、オスたちは卵を両足の間に抱えながら、少しずつ場所を交代して助け合うようです。

その後、メスが戻ってくる時期(生まれてから65日)になると、卵から雛(ひな)が出て来ます。この時、オスは食道から脂肪分とタンパク質を含んだ栄養物質を口に戻して、雛に与えます。雛はオスの暖かい抱卵嚢の中で過しますが、オスの栄養物質には限りがあるため、雛が卵から産まれてから10日以内にメスが戻らないと、自分の生存に必要な栄養分も尽きてしまいます。

戻ってきたメスと再会できると、オスは餌を探しに海まで歩きますが、この時に体力がつきてしまうオスもいるようです。
尚、コウテイペンギンは、1度の産卵では、1個だけ卵を産みますが、あまりにも体力を消耗してしまうため、2年か3年に1度しか産卵しないと言われています。

その後の子育て

海から戻ってきたメスは、雛の為に胃に蓄えた食べ物を吐き出して、雛に与えます。数週間後にオスが戻り、メスと同様に胃に蓄えた食べ物を吐き出して、雛に与えます。これ以降は、オスと、メスで交代しながら雛に餌を運んで食べさせます。

やがて、雛が成長してさらに餌を欲しがると、両親で海に出かけて餌を運ぶようになります。そのころから、雛ばかりの集団が出来て、子育てをしていない若鳥に守られながら少しずつ海岸に向かいます。

雛の集団が海岸に着くころには、南極の夏を迎えて、親子ともども羽は夏仕様のものにかわります。

コウテイペンギンとは?

水族館にいるコウテイペンギンは、じっとしているイメージしかありませんでしたが、南極にいる時には、とても人懐こくて、カメラの前やテントの周辺に集まってくるそうです。

地上では、どことなく不格好で愛嬌がありますが、海中では、紡錘形の体で自由に俊敏に泳ぎ回る姿が目に浮かびます。コウテイペンギンは、海中ではスマートで、地上では辛抱強くて、好奇心の強い、ちょっと不思議な鳥でした。