寂しげな夕暮れ時に似合う秋の虫の鳴き声

カンタンという虫の絵

カンタンという虫の絵

まだ残暑は続いていますが、秋の虫たちの合唱は始まっています。夕方になると、コオロギの鳴き声が心地よく響きわたります。

私は、スズムシとコオロギの鳴き声を知っている程度で、カンタンという虫のことは知りませんでした。

カンタンは、弱々しい声に気品と情緒があって、涼しくなった秋の夕暮れ時に、とても合っていて、調べてみると鳴く虫の女王と言われていました。(本当は、女王ではなくて王ですね。鳴く虫のことですから。)

カンタンの鳴き声は「リリリリリリリリーッ」「ルルルルルルーッ」或いは、「フルルルル」などと聞こえます。確かに、この声は毎年聴いていたと思います。

そんなカンタンという秋の虫について紹介します。

カンタンという虫

カンタンは、コオロギの仲間で「直翅目(ちょくしもく)」の「コオロギ科カンタン亜科」の昆虫でした。ただし、カンタンは、夏のバッタのような、薄い緑色のものや、薄茶系の色をしています。

カンタンの生息域は、北海道の北側にあるロシアとロシア南東部や朝鮮半島などです。日本では全国の草地にいます。

カンタンの体

カンタンを上から観察すると、10mm〜20mm程の細長い体の虫で、体色はやや薄い黄緑色をしています。背中には薄い翅があって、鳴く時は、この翅をたててすり合わせているように見えます。

カンタンの生態

カンタンの成虫は、8月から11月ごろにかけて、活動していますが、メスは9月中頃になると、ヨモギなどの柔らかい茎を選んで噛(か)み穴を開けて、そこに産卵管を入れて卵を産みます。

そして卵は、翌年の6月頃に孵化(ふか)し、その後、1ヶ月〜2ヶ月で成虫になります。成虫になったオスのカンタンは、3日程で鳴き始めて、伴侶を探しはじめます。

この時オスは、自慢の鳴き声をひびかせながら、オスの背中からメスが好む特殊な分泌物を出して、メスがきたら差し上げます。

オスは、この時にメスに生じた一瞬のすきに交尾を済ませて逃げ去り、生涯を終えます。

カンタンの性質

カンタンは、小さな虫ですが、意外に攻撃的で手で捕まえると噛みつかれることもあります。また、とても縄張り意識が強い昆虫で、飼育する時などに、2匹を同じケースに入れると共食いをすることもあります。

鳴く虫の女王とまで言われている虫ですから、いっぱい虫かごに入れて鳴き声を楽しみたくなりますが、1匹ずつ入れないと、鳴いてくれなくなるそうです。きっと、相手のことが気になってパニックになってしまうのでしょう。

カンタンの食べ物

カンタンは、アブラムシなどを好んで食べますが、ヨモギなども食べる雑食性の昆虫です。

ただし、糖分と動物質(肉など)が不足すると、幼虫の成長が止まって死んでしまうこともあるため、飼育する時は、それらに考慮した加工食材を組合せると良いでしょう。

カンタンの名前の由来

カンタンという名前は、ちょっと変わっていますが、その由来は次のようなものと言われています。

『中国人の男が邯鄲(かんたん)という都で、仙人から貰った枕で眠ったら、幸福な一生を送る夢をみました。ところが目覚めると、とても短時間だったという故事があります。』この故事は、人生の夢や栄華は、一瞬で儚い(はかない)ものという意味を表しています。

どうやら、カンタンの鳴き声は、「一生の夢や栄華は、はかないものということ」を連想させるのでしょう。

このことから、カンタンで鳴くキリギリスのことを、「カンタンのキリギリス」→「カンタンギス」→「カンタン」という名前になったと言われています。

まとめ

秋が近づいてきて、虫の声が響き渡る季節になりましたが、「カンタン」という昆虫が好きになりました。今年の秋は、少しだけ、虫の声と姿が一致する種類が増えました。

カンタンの声を聞きながら秋の夕暮れを楽しみたいと思います。