森にいるクサアリの変わった生活

黒いアリの写真

黒いアリの写真


クサアリというと知らない人が多いと思いますが、じめじめした雑木林で行列を作っているアリのことは知っていると思います。日陰の多い雑木林でツヤツヤ黒光りをするようなアリは、大抵クサアリです。

クサアリの匂いを嗅いでみると、香辛料のサンショウのような香りや、柑橘系(かんきつけい)の強烈な香を漂わせているので直ぐに判ります。

このクサアリの行動は、ちょっと普通のアリとは違うため、調べた事をまとめて紹介します。

クサアリってどんなアリなの?

クサアリは、クサアリ亜族のアリで、日本では5種が生息しています。

外見は、5mm程度の大きさで同じようなサイズや形・色をしていて区別がつきにくい普通のアリにみえますが、色は黒くて、漆(うるし)を塗ったようにツヤツヤしています。真っ黒でつやつやしているアリです。

とても堅牢なクサアリの巣

クサアリは、薄暗い雑木林の中にある、クヌギやケヤキの大木の根本を巣にしていて、大木の根本には大きな穴が開けられていますが、地面に穴を掘るような巣ではなく、大木の根本を活用した巣が多いため、菌類を栽培して巣の内壁を補強用として使っています。

また、クサアリは、アブラムシやカイガラムシなどの甘露(かんろ)を好んで食べますが、この甘露を集めて巣の内壁を補強や、菌類の肥料にも活用します。

クサアリのコロニーの寿命は長くて、10年近くにもなるため、年数が経過したクサアリの巣は、まるでコンクリートのように堅牢(けんろう)です。

巣を乗っ取るクサアリの女王

クサアリの新女王は、普通の女王アリと違って、自力で巣を作る能力がありません。そのため、ケアリ亜属やアメイロケアリ亜属のアリの巣を乗っ取って自分の巣にしてしまいます。

この乗っ取りは簡単ではなく、新女王は侵入先で殺されることが多いようですが、上手くいった場合は、直ぐに産卵を始めます。

すると、侵入先の働きアリは、生まれて来たクサアリを育ててくれるため、やがてクサアリの働きアリが誕生してきます。しばらくは、クサアリと侵入先のアリは同居していますが、やがて、寿命のために侵入先の働きアリの数は少なくなって、最終的にはクサアリだけが生存することになります。

なお、このような巣の乗っ取り形態のことは「一時的社会寄生」と呼ばれるものです。

まとめ

クサアリの生態は、随分変わっていることから、知らない人が多いと思いますが、日本では薄暗い雑木林などで普通に見られるアリです。

日本に生息する5種は、九州以北に広く分布していますが、西日本には「クサアリモドキ」という種が最も多く、東日本では「クロクサアリ」が多いと言われています。

なお、クサアリたちが雑木林で行進しているのは、甘露を出してくれるアブラムシや、カイガラムシを目指す行列のようです。

クサアリのことを知って、実際に雑木林に行ってみたくなりましたが、日本では、雑木林が少なくなってきたという事情と、そんな場所を見つけても、最近は熊出没注意の標識に躊躇(ちゅうちょ)してしまう、怖がり屋の自分に気が付きました。