有名になっても不思議がいっぱいの蝶

アサギマダラの写真

アサギマダラの写真

アサギマダラは有名な蝶です。アサギマダラは季節に合わせて南下や北上をして、海を渡って2,000km以上も移動したことも確認されている蝶だからです。

アサギマダラが有名になったのは鹿児島県の種子島(たねがしま)から、三重県や福島県までの移動が確認され「渡り蝶」としてマスコミなどで報道されるようになってからです。

その後は、蝶の翅(はね)に油性ペンで印を付けて別の場所で捕獲された時に移動距離が確認できる「マーキング調査」が流行しました。

「マーキング調査」は、時間のかかる手法ですが、昆虫採集をしている楽しさと、自分が印を付けて放した蝶が、遠方まで飛んでいって記録をつくるかもしれない楽しみがあります。そのため、子供から大人まで、多くの人が参加しています。

このように、多くの人々が協力して調査しているのに、アサギマダラが渡りをする理由は解明されていません。とても不思議な蝶です。そんなアサギマダラについて整理してみました。

アサギマダラはどんな蝶なの?

アサギマダラは、タテハチョウ科マダラチョウ亜科に分類されている蝶で、アゲハチョウぐらいのサイズです。おもに熱帯地方にいるマダラチョウの仲間ですが、アサギマダラは、東南アジアからヒマラヤ、中国、韓国、日本などの北部を含めた広い範囲に生息しています。

日本の生息地は、沖縄から北海道まで全国的にみることができます。

体の特徴

アサギマダラの体は、バッタなどの昆虫と同様に、頭部・胸部・腹部の3つで構成されていて、胸部の背中側には4枚の翅(はね)があります。

  • 白色の水玉模様のある胸部は、前胸・中胸・後胸に分かれていてそれぞれに1対の脚があります。なお、脚は4本に見えますが、前胸には小さく退化した前脚が1対あります。
  • 前翅(ぜんし)のサイズは、5㎝〜6㎝で、他の蝶に比べて細長く見えます。オスの後翅(こうし)には、「性漂(せいひょう)」という黒い個所があります。性漂の発香鱗(はっこうりん)という白い鱗粉には、メスを惹(ひ)きつける匂いが入っています。
  • 4枚の翅はとても薄くて、白く見える半透明の所は、鱗粉(りんぷん)はほとんど付いていません。
  • 複眼(ふくがん)は個眼(こがん)が集まったもので、オスはメスよりも個眼が多いため、オスの複眼の方がメスよりも大きく見えます(オスは視覚でメスを探すためと言われています)。
  • 蝶の口は、口吻(こうふん)と呼びます。口吻は左右1対の樋(とい)状のものが合わさったものでストローの形状をしています。蜜を吸う時などには伸びて長くなりますが、普段は小さく丸まっています。
  • 腹部には、消化器官や生殖器官が納められていて、呼吸のための気門(きもん)もあります。オスの腹部の後方にある腹端(ふくたん)には、「匂い付」のための「ヘアペンシル」という器官が納められています。

アサギマダラの丈夫な体

アサギマダラは、外見だけでは判らない強さを持っています。翅は薄いですが、張りがあって、少しぐらいのことでは破れません。また、胸部を押されても平気です。

そして、最も驚かされるのは平均寿命です。モンシロチョウは14日ですが、アサギマダラは、マーキングしてから半年後に捕まえた個体が、およそ1,000kmの渡りをしていたことも確認されています。つまり、180日間も元気で生きている個体が見つかったことになります。

美しさが秘めていた毒素を溜めた体

アサギマダラの翅は、前翅が黒いアミメで、後翅が赤茶色のアミメ模様をしています。しかも、見る角度や光のあたり具合などで、翅の白い部分が「浅葱(あさぎ)色」に見えるため、蝶の中でも美しい翅をしています。「浅葱(あさぎ)色」とは、うっすらと緑色が入った薄い青色のことです。きっと、翅の色から名前が付けられたのでしょう。

しかし、この美しくて目立つ翅には理由がありました。

アサギマダラの幼虫は、キジョランなどの毒草を食べて体に毒素を溜(た)め込んでいました。そして成虫の美しい翅は、毒を持っていることを天敵の鳥などに主張していたのでしょう。

まとめ

アサギマダラは、海を渡って2,000km以上も渡りをする蝶ですが、何のために渡をするのか、どうやって海を渡っているのかなど解明されていないことがいっぱいある不思議な蝶です。

今回は、そんなアサギマダラの特徴をまとめました。これでアサギマダラの概要は理解して頂けたことでしょう。これからも、アサギマダラの生態などを少しずつ紹介していきます。