蟻は、大きな目を持っていますが、暗い穴の中も歩くため、実は、はっきりと物が見える程の目をもってはいません。又、体も小さいし、働き蟻は飛ぶことも出来ませんので、例えば巣と餌等の間を行き来するルートを見通すことはできません。

それにも関わらず、蟻が群れで行進する場合は、無駄なルート(例えばジグザグ状の道等)を作って歩いている場面に出会ったことがありません。

蟻の行進は概ね、最短ルートで歩いていることが多いと思います。

蟻は、頭についている2本の触覚で地面や物体に触れながら歩いています。この触覚は科学的センサーです。蟻はこの科学的センサーの能力が極めて発達しています。

この科学的センサーは空気中に漂っている揮発性の化学物質(におい)を認識することができます、またこの触覚で触れてみて、はじめて確認できる空気中には漂わない化学物質(土、石、草、仲間、餌等)を確認しています。

蟻が歩いている姿を観察すると、絶えず2本の触覚を動かして石や地面、仲間の蟻等に触れています。このように蟻は、2本の触覚で、匂いを嗅ぎ、物に触れることでその物体を確認できるのです。

外を出歩く働き蟻は、巣に戻れるように、フェロモンを出して「道しるべ」にしていますが、このフェロモンは揮発性で、時間が経つと薄くなります。

蟻の行列が最短ルートでできる理由は、次のようなことだろうと考えられています。

外に出歩いて、餌場を見つけた蟻は仲間の蟻に、伝えますので、やがて巣と餌場の間には、蟻の行列ができるようになります。この行列ができる前は、色々なルートで蟻が行き来しますが、最短のルートで歩いている蟻は、餌場と巣の間を往復する回数が他のルートの蟻に比べて多くなります。

その結果、その最短のルートには、より多くのフェロモンが溜まっていきます。それとは逆に遠いルートの場合は、そこを通過する頻度が少ないためにフェロモンは揮発して薄くなります。

そして、フェロモンを頼りに歩いている他の蟻は、フェロモンが多く漂っている最短のルートに集まるようになり、やがて蟻の行列は、最短のルートで行進するようになると考えられています。