渡り鳥は、長距離を飛んでくるので、人間は鳥の後を追いかけて、どのルートで飛ぶのかを確かめることはできません。そのため、鳥を捕獲して認識番号などをつけて放鳥する方法が主流です。飛んで行った先で、調査している人がそれを確認できれば、どこから来たのかが判ります。

しかし、認識番号を付けた人の国籍と、認識番号がついている鳥を発見した人は、国籍も違うなど、多くの壁があります。又、飛行ルートの細かい情報等は判りません。

そのため、最近では、地球を周回している衛星を使った方法で渡りのルートを確認する方法も行われるようになりました。この方法で飛行ルートは正確に得られるようになりました。

この衛星追跡で渡り鳥の飛行ルートを調べる方法について紹介します。

衛星追跡をする場合にも、対象の鳥には衛星用の送信機をつけなければなりません。そのため、一度は鳥に取り付けるために捕獲しなければなりません。これだけでも鳥にとっては大きなストレスになりますが、その後は、送信機をずっと装着して過ごすことになります。

私は、人間ドックで心電図に異常があったため、24時間心電図をモニターする再検査をしました。ちょっとした装置を胸部につけて、1日生活をしました。たった1日でしたが、本人にとっての負担は大きく、かなりのストレスでした。

鳥につけられる送信機は、装着具を含めて体重の4%以内ということで対応しているようですが、装置を取り付けられた鳥は、かなり嫌だと感じているものと思います。

衛星追跡の方法は、大きく2種類の方法がありますので、これらの方式を次にまとめます。

(1)アルゴスシステムによる方法

米国の気象衛星「NOAA」と欧州連合の地球観測衛星「METOP」等を使っています。これらの衛星は、およそ800キロメートル上空の極軌道を、100分に1回の速さでまわっています。

鳥につけられた送信機から送られた信号(400MHz帯の電波)は、衛星にあるアルゴス受信機でキャッチされます。キャッチされた信号は、周波数を測り、受信時刻やデータとともに地上の受信局に送られます。

地上局では、その情報をフランス等にある世界情報処理センターに転送されます。世界情報処理センターでは、受信した内容を位置情報などに変換します。そして、インターネット等を通じて研究者のもとに送られます。

この方式は、衛星が送信機の上空を通過(10分程)する間に、受信した電波の回数は、毎回異なります。そのため、精度誤差は大きくなってしまいます。但し、数千キロメートル以上も移動する渡り鳥の飛行ルートの調査には影響するレベルではありません。

また、この方法では、衛星使用量(1500〜2000円/日程度)が発生しますが、送信頻度は10日に一度程度でよいため、多額の費用はかからないそうです。

尚、送信機の電源には太陽電池方式のものもあり、通常のバッテリーが数ヶ月から1年程度の寿命に対して、数年の単位で使えるそうです。

 

(2)GPSシステムによる方法

GPS(Global Positioning System)は、全地球測位システムを利用したものです。この方法は衛星からの電波を受信して位置を測定しています。測定誤差は、数十メートル以内と正確です。

このため、鳥につけられる装置は、受信機になります。このため、受信機に蓄積された情報は、鳥を捕まえて受信機を取り外す方法、または、鳥に近づいて通信で情報を取り出す方法で行う必要があります。

GPSによる位置測定は三角測量の原理で行います。位置が判っている衛星(3〜4個)から発信された電波が鳥の受信機に届くまでの時間を測定することで、鳥がいる位置をもとめています。