鳥の羽ばたき音は、意外に大きいものです。カラスはしなやかで丈夫そうな翼を持っていて、力強く飛びますがその時、「きゅっきゅっ」というような音を出して飛んでいます。スズメなどの小さな鳥は「ぶるっぶるっ」というような低い音がします。

ところが、夜の猛禽と言われている「フクロウの仲間」は無音で羽ばたくことができます。「フクロウの仲間」は音に敏感なネズミなどを襲って食べていますが、用心深いネズミをさっと捕まえることができるのは、羽ばたき音のしない羽根をもっているからです。

「フクロウの仲間」の翼の羽根は、11枚の羽弁(うべん)のヘリが、細かく刻み込まれたような形状をしているからです。このような刻みが有ることで、羽根を羽ばたく時に羽根の端で生じる「渦流(かりゅう)」という空気の渦巻き流が発生しません。また、羽根同士が擦れ合っても、細かく刻み込まれた隙間から空気が逃げるため、抵抗が減って摩擦音を生じさせません。

普通の鳥の羽根は、羽弁のへりも羽毛の密度は均一で、刻みこまれたようにはなっていません。そのため、羽ばたいた時には「渦流」が生じて摩擦音がでてしまいます。

この羽根の仕組みは、「フクロウの仲間」が、静まりかえった夜に、音に敏感な獲物の狩りを成功させるために獲得した特別な構造です。

そして、この特別な構造は、超高速走行をする新幹線(500系)の騒音防止対策として使われています。

新幹線は究極的な流線型をしていますが、電気を取り入れるために屋根に突き出たひし形のパンタグラフは、どうすることもできません。そのため、パンタグラフに「フクロウの仲間」の羽の仕組みを取り入れています。

それは、羽根の端にある「細かく刻み込まれたような形状」をヒントにして、パンタグラフに細かい「ひだ」をつけることで騒音を押さえる構造にしたものです。