アリは、外敵から襲われにくい狭い空間を好みます。そのため、日本でも枯れた竹の中や茎の内部にすんでいるアリを見ることはしばしばあります。

私が日本で見つけたように枯れた植物の中にいるアリ達には、あまり興味はわきませんでしたが、文献等を調べると、熱帯のジャングルに棲んでいるアリと植物には、かなり変わった共生関係があることが判りました。

アリと植物の共生

アリと植物が持ちつ持たれつで共生する理由には、次のような関係があります。

アリは、住んでいる植物を外敵から守る

植物は、ガードマンをするアリに住まいを提供する

そして、このようにアリと共生する植物の総称は「アリ植物」と呼ばれています。

シリアゲアリ属の仲間とオオバギ類の共生

オオバギという木は、マレー半島のボルネオやスマトラで生息する高木です。

このオオバギ類には数多くの種がありますが、その中の少なくとも26種には、シリアゲアリ属のアリを住まわせていることが確認されています。

シリアゲアリの新女王は
交尾をすませるとオオバギの幼木を探し
その茎の中に入り込んで、コロニーを作ります。

実は、オオバギの幹の内側は竹のような空洞になっていることから、アリの住処には丁度良いのです。

また、オオバギは住まいを提供するだけではなく、葉の裏や茎の一部からアリが好む栄養の塊(タンパク質や脂肪)をふんだんに提供しています。

シリアゲアリは、オオバギから貰える栄養分で十分に生活できるのですが、「甘露」を排泄してくれるカイガラムシをオオバギの空洞で家畜として養っています。(やはり主食だけではものたりないですよね!)

こんなに恵まれた環境にいるシリアゲアリは、どこに行く必要もありません。そのため、生涯に亘ってオオバギから降りて生活しないそうです。しっかりと、ガードマンとしての役目を果たせば良いのです。

他の世界には危険がいっぱいあると思いますが、狭い世界だけしか知らないというのも何だか辛そうです。

その他のアリとアリ植物の共生

中南米には、オオバギに似た、セクロピアというアリ植物があります。
セクロピアの幹はまるで竹のように中空で節もあります。この中に棲むのは、主としてアステカアリ属のアリの仲間です。

セクロピアは、大きな葉の付け根付近に多くの栄養体を実らせてアリに提供しています。その代わりに、アステカアリは、しっかりとセクロピアを守り、巨木に成長させます。

オオバギもセクロピアも巨木ですが、低木のアリ植物もあります。それは、中南米にあるコショウの木の一種です。

この木は、葉柄の付け根付近に空洞を作って、オオズアリ属のアリに住まいを提供しています。この植物は、空洞の内壁に栄養体をふんだんに実らせて、オオズアリ達に与えています。

但し、アリが住んでいない時には、栄養体を作りません。

これは不思議ですが、研究者たちは、アリが植物に何らかの刺激を与えて栄養体を作らせているのでは、と考えています。

共生関係を調べると、色々なことが判って興味が尽きませんが、まだまだ研究者たちにも確認できていないことは山積しているようです。

共生者たちの関係を調べると、理由は判りませんが、どんな世界でも生きていくことは大変なんだということを感覚的に感じてしまいました。

生きるのは、どんな世界でも大変です!