ヤマガラという小鳥
ヤマガラは、スズメ程の大きさで、とても人懐こい小鳥です。そのため、ヤマガラは野生の鳥ですが、いつも身近にいてくれるように感じられます。
ヤマガラの見た目は温和で、小さくて弱々しいため、厳しい自然の中で生きているのが不思議に思えてしまう程ですが、彼らはしっかりした戦略を持って生活していました。そんな、ヤマガラについて、紹介します。
平和主義者のヤマガラ
殆どの野鳥は、同種の鳥とともに行動していますが、ヤマガラは鳥の種を超えて、同じ木の中で棲み分けをすることのできる小鳥です。また、それだけではなくて野生の鳥とは思えない程、人懐こいことでも知られています。
ヤマガラは、スズメ目シジュウカラ科の小鳥で、スズメとほぼ同じサイズの全長14㎝の季節を問わず西日本を中心にみることが出来る小鳥です。
ヤマガラは、台湾や中国の一部の地域、それに朝鮮半島でも観察できるようですが、絶滅の危機に至っているところもあって、日本ではレッドリストに指定されています。
頭は白と黒のツートンカラーで、胸から腹部にかけて赤味系の茶色、背部や尾は濃紺系の灰色をしています。尾はシジュウカラよりも短くて軽快に見えます。
ヤマガラが平和主義者と言われる理由
冬になると、ヤマガラは「混群」という行動をします。「混群」は、他の種の鳥と同じ木で寝ることや、同じエサを食べることをして一緒に群れで行動をすることを言います。(小鳥は、秋から冬になると、一緒に群れになって行動をする習性がありますが、通常は同種の鳥で群になります。)
ヤマガラが混群する小鳥の仲間
ヤマガラは、シジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラなどの小鳥たちと混群することが多いようです。
何故ヤマガラは混群するの?
ヤマガラは、小さくてひ弱な小鳥です。そのため、ヤマガラは周りの小鳥たちと争うのではなく、仲良くすることで厳しい自然界で生き抜く道を選んだのだと思われます。
混群することのメリットは?
ヤマガラは、エサを見つける優れた能力と素晴らしい口コミ力を持っています。そのため、ヤマガラは混群する仲の良い鳥たちに、エサ場を教えることで、他の種の鳥と集団になって行動することができるのでしょう。
そして、ヤマガラと混群するシジュウカラやエナガは、木の上の方の枝にとまる習性を持っているため、ヤマガラよりも早く敵の襲来に気づいて群れの仲間に知らせることができます。
このように混群をすると、お互いの弱点を補って得意な分野で助け合うことができるようになります。
ヤマガラの好きな食べ物
ヤマガラは春から夏の季節には、昆虫を好んで食べていますが、秋になると木の実を食べるようになります。特にエゴノキの果実は好きで、堅い実を両足で挟みながらくちばしでつついて割って食べています。
ヤマガラのすごい能力
ヤマガラの記憶力は素晴らしくて、秋にはエゴノキの実やどんぐりの実などを、木の幹や樹皮の隙間、または倒木などの隅に隠して貯蔵することをします。
また、ヤマガラは有毒な実を覚えていて、それを排除してタネだけを食べることもできます。
ヤマガラが人懐こい理由
ヤマガラは平安時代から、人に飼われて芸もしていたそうです。そのような習慣は1980年代まで行われていて、お宮の鈴を鳴らしてお賽銭を入れる「お宮参り」や、くちばしで太鼓や三味線を鳴らす「楽器演奏」の芸の記録も残されています。
しかし、人に飼われて芸をしていたから人懐こいというよりも、ヤマガラの人懐こさが人の心に響いて、身近に飼ってみたいという気持ちになったのでしょう。
ヤマガラの人懐こさは、ヤマガラが仲間の小鳥たちと仲良くしたいという気持ちの延長線上にあるもので、争いよりも仲間として仲良くする方が良いと考えたのだろうと思われます。
ヤマガラのしたたかな生き方
小さくて弱々しいヤマガラには、素晴らしい頭脳がありました。そのため、自分を良く理解して、厳しい自然界で生き残るやり方を獲得したのだと思われます。
弱々しく見えるヤマガラですが、とてもしたたかな生き方をしていました。今は、環境省のレッドリストに掲載された小鳥ですが、これからもしっかりと生きのびてくれる小鳥でしょう。