ヒマワリの花には不思議がいっぱい
ヒマワリは「向日葵」や「日周り草」と漢字で書くため、太陽の方角を向いて咲いていると勘違いされることが多いのですが、成長したヒマワリの花は、常に太陽が昇る東側を向いていて、太陽の動きと共に花の向きを変えることはしていません。
また、1つに見えるヒマワリの花には、多くのタネができます。
このようにヒマワリの花には、常識のように言われてきた事と違う現実や、少し考えると不思議な現実があります。これらについて調べたことを次に紹介します。
太陽の方向を追って咲くと言われる理由
植物の葉は、光合成をするために太陽の方向を向いています。そして、太陽が方向を変えると、それに合わせて葉も向きを変えていきます。そしてヒマワリの場合は、太陽が西の空に沈んでしまうと、葉は、夜の間に日が昇る東向きになって待っています。
ヒマワリの茎の最上部にある若い葉も太陽を追って回りますが、ヒマワリの花のつぼみは最上部の若い葉の間にできるため、葉の動きに連動して東から西の方角に回ります。ヒマワリの花が若い頃には、これと同じ動きが観察されますが、やがて、花が大きくなって重くなると動くことが出来なくなります。
ヒマワリの花は、夜の間に成長して自重で動けなくなってしまいますが、動けなくなる前のヒマワリの花は、葉と同じ東向きで朝を待ちます。そのため、成長したヒマワリの花は常に東向きに咲いていることになるのでしょう。
ヒマワリの花が太陽を追って咲くと言われる理由は、まだ成長過程の若い花が、葉の動きに連動して動いているのを見て、言われるようになったものと推定されます。
ヒマワリの花
ヒマワリの1本の長い茎の先には、大きな1つの花のようなものがありますが、1つの花ではなく、多数の花が集まっているものでした。
ヒマワリの花の構造
ヒマワリの花は、1つの大輪のように見えますが、キク科の花に見られる「頭状花序」で、大きな外輪の黄色の花びら部は「舌状花(ぜつじょうか)」、その内側のタネが形成される部分の花は「筒状花(とうじょうか)」と呼ばれています。
頭状花序とは?
頭状花序は、茎の先端に多数の柄の無い花が並んでついているものです。キク科やマツムシソウ科などで見られる特徴で、ヒマワリの他、タンポポや菊などが頭状花と呼ばれています。
舌状花の役目
舌状花(ぜつじょうか)は、花びらのようにも見えますが、実は、その1枚、1枚が独立した1つの花でした。そして、きれいな色の花びらに見せることで、虫を誘う役目を担っています。
筒状花の役目
オシベのように見える、舌状花の内側にある筒状花(とうじょうか)は、小さな筒状の花が集まっているものです。この筒状花は、タネを作る役目をしています。
ヒマワリの花は、このような構造で、1つの花ではなく、多数の花が集まって作られていました。そのため、タネの数も1つではなくて、多くのタネが作られていたのです。
ヒマワリの花の不思議と現実の姿
ヒマワリの花が太陽を追って咲くと言われるようになった理由は、まだ成長過程の若い花が、葉の動きに連動して動いているのを見たものだったのでしょう。
また、1つの大きな大輪のように思われていたヒマワリの花は、1つの花ではなく、多数の花が集まって作られていて、多くのタネが作られていました。
これで、ヒマワリの花の疑問点は解消されたことでしょう。