オスのカブトムシは人気者
子供達に人気がある昆虫の中でも、特に人気があるのはオスのカブトムシです。メスのカブトムシには大きな角(つの)がなくてつまらないのです。
つまり、カブトムシは大きな角を持っているから恰好が良くて、強そうに見えるから子供達に人気があるのでしょう。
それでは、何故、メスのカブトムシは角を持っていないのでしょうか? その理由について、調べてみました。
オスとメスの役わりは?
メスのカブトムシが角を持っていない理由を調べるため、オスとメスの役わりを確認してみました。
オスの役わり
樹液が染み出る木には、昆虫たちが集まります。夏には、カブトムシやクワガタムシ、カナブン、スズメバチなどさまざまな昆虫が樹液を飲むために集合します。
この時、カブトムシは、小さな昆虫たちのことは気に掛けませんが、仲間のカブトムシや大きなクワガタムシと出くわすと直ぐに喧嘩を始めて、樹液の奪い合いをします。
オスのカブトムシは、角を相手のカブトムシやクワガタムシのお腹の下に潜り込ませて投げ飛ばす戦法のため、長い角は有利です。投げ飛ばされた相手は、エサ場から追い出されてしまいます。
樹液が出ている樹木は森の中でも限られていて、力を示すにはもってこいのステージです。恐らく、メスを確保するためのアピールなのでしょう。
メスの役わり
カブトムシのメスの役目は、子供を産んで子孫を残すことです。そして、自然界の競争に勝ち残る子孫を産むためには、長い角を持ったオスに出合うことです。
そのため、メスには、角は必要ないのでしょう。
角の遺伝子の研究報道
愛知県岡崎市の基礎生物学研究所(新美輝幸教授のグループ)の研究で、角の生え方(長さや形状)に影響する遺伝子を特定したというニュースが報道されました。
記事が掲載された米科学誌のPLOS Genetics電子版によると、角のある頭部と胸部で働く遺伝子を検出して、その中から角と脚に影響する遺伝子(11個)を特定したと報道されています。
この遺伝子が特定できたことで、ヘラクレスオオカブトのように多様化した進化の過程を明らかに出来ると期待されています。
また、朝日新聞は、カブトムシの角は、進化の過程で備わった可能性があることを、同研究グループの談話として紹介していました。
まとめ
カブトムシの角は、強さのシンボルとして戦うために使うものと考えて良いでしょう。そのため、子供を産んで育てる重要な役目を担ったメスには必要なかったのです。
ただし、先日、報道された基礎生物学研究所の研究グループは、カブトムシの角は、進化の過程で備わった可能性を示唆(しさ)していました。
また、今回見つけた11個の遺伝子は、カブトムシだけではなくて、どんな昆虫にも存在することが判っています。今まで知らなかった新発見があるかもしれません。期待して研究の成果を待ちましょう。