金属光沢で、青・緑・白・朱色のまだら模様をしたハンミョウの姿には魅了されますが、あまり知られていない昆虫です。この記事ではハンミョウの漢字や英語名などから、どんな昆虫なのかを紹介しています。
ハンミョウとは?
ハンミョウはコウチュウ目オサムシ科の体長2㎝程の昆虫です。馴染みにくい名称のためか、あまり有名ではありません。そもそもハンミョウとは、どんな字なのでしょうか?
ハンミョウは、漢字では「斑猫」と書きます。まだら模様の猫とは、ハンミョウを表現するのにピッタリです。
「まだら模様」は、ハンミョウの体色を表現したものです。金属光沢の青・緑・白・朱色などの模様の体表は、宝石のように綺麗ですが、細長い足で素早く歩き回って、大あごで虫を捕食する姿はとても獰猛(どうもう)です。「斑猫」の「猫」は、ネコ科のライオンやトラを連想して漢字名にしたのでしょう。
ハンミョウの英語名は「タイガービートル」と呼び、いかにも強そうな名称です。「タイガービートル」は、漢字の「斑猫」と同様に獰猛な姿を連想させます。
また、地面が露出した舗装されていない路面に沿って、人の前を数メートル飛んでは地面に舞い降りる様子から、「ミチシルベ」や「ミチオシエ」とも呼ばれています。
雑木林や林床に生息するハンミョウ類の幼虫は、地面に縦穴を掘って隠れています。巣穴付近を小さな虫などが通りかかると大あごで虫に噛みついて、巣穴に引き込んで捕食します。この習性を利用して、ニラのような細くて長い葉っぱを穴に入れると幼虫が釣れるため、「ニラムシ」と呼ばれることもあります。
日本のハンミョウ(成虫)の活動時期は、4月〜10月ごろで、北海道を除いた地域で生息しています。ただし、生息地は減少していて、絶滅危惧Ⅱ類や準絶滅危惧種に指定されている地域もあります。
巨大で恐ろしい姿のハンミョウ
日本で最大のハンミョウは、凡そ2㎝ですが、世界で最も大きなオオエンマハンミョウは、5㎝もあります。
上記スケッチ写真は、アフリカに生息するツヤオオエンマハンミョウですが、クワガタムシのような大アゴを持っていて、恐ろしい形相をしています。
ツヤオオエンマハンミョウの体色は焦げ茶色でカラフルではありません。夜行性のためかもしれません。他の多くのハンミョウは、昼間に活動しています。
凶暴なハンミョウが5㎝にもなると、虫どころか小動物も食べるそうです。こんな恐ろしい風ぼうで、すばしっこく追いかけられたら恐怖でしょうね。
まとめ
ハンミョウ類は世界で2,000種弱、日本には1.3%ほどが生息していると言われていますが、昆虫が好きな方でもハンミョウの生態に詳しい人は少ないでしょう。
多くのハンミョウは、金属光沢の色彩に富んだ美しい体色をしていて、人から見ると美しい昆虫です。
しかし、自分が小さな昆虫だったとしたら、ハンミョウの俊敏な動作と大アゴで襲いかかる様を見るのは嫌でしょう。小さな昆虫にとってハンミョウは、獰猛(どうもう)な猛獣でしょうが、生息数の減少は気になります。
日本での生息数の減少は、幼虫の棲み家になる土面が少なくなったためと言われています。
地面のある山道や林道の確保は、ハンミョウの減少に歯止めをかける一つの方法かもしれません。土の上を歩ける環境は、人にとっても大切です。