クリシギゾウムシは、長い口吻でイガを避けて栗の実に産卵していた!

栗の実

栗の実

栗の実を食べる主要な害虫はクリシギゾウムシという昆虫ですが、栗の実は痛いトゲと固い皮、それに実の周囲を渋くて食べられない渋皮で防御しています。この記事では、鉄壁とも言える3つの要塞で守られている栗の実を食べるクリシギゾウムシのことを紹介しています。

栗の実に開けられた小さな穴

秋も深まり、栗の実が採れる季節になって来ました。栗の実を拾ったことのある人は、固い栗に小さな穴が開いているのを見た人もいるでしょう。

栗拾いに行くと実感しますが栗の実は、触れると痛いトゲに守られています。栗の実の穴は、栗を食べる虫の仕業だということは直ぐに判りますが、尖ったトゲをよけて小さな穴を開ける虫がいるなんて想像することもできません。

今回、固い栗の実に小さな穴を開ける虫のことが気になって調べてみたので紹介します。

3つの要塞に守られている栗の実

栗の実は、尖ったイガの中にあります。地面に落ちた栗は、大抵イガの口が広がっていますが、それでも焦げ茶色の実を取り出すのは大変です。

栗の実の表面は、固い角質層で覆われていて、食べようとしても簡単には食べることはできません。

さらに固い角質層を取り除いても黄色の実の表面は、苦い渋で覆われています。つまり、栗の実は3重の要塞で守られています。

クリシギゾウムシとは?

調べた結果、強固な3つの要塞に守られた栗の実に、小さな穴を開けているのは「クリシギゾウムシ」という昆虫でした。次に「クリシギゾウムシ」について紹介します。

体長8〜10mmのクリシギゾウムシは、長い口吻(こうふん)を持った普通のゾウムシに見えます。ゾウムシの特徴ともいえる長い口吻は、クリシギゾウムシの場合は、オスが3.5mm程に対して、メスのそれは倍以上(8mm)もありました。

クリシギゾウムシのメスは、この長い口吻を使って、トゲの上から実に産卵していたのです。

クリシギゾウムシの生態

クリシギゾウムシの成虫は、9月上旬〜10月中旬に羽化(うか)して活動します。
10月上旬から下旬ごろになると、交尾後のメスは長い口吻を使って栗の実の渋皮付近まで穴を開けて、穴の底に楕円形の卵を産みつけます。卵は10日でふ化して幼虫になります。

幼虫は、渋皮に沿って実を食べますが、生長するとともに栗の実の内部を食べるようになります。

クリシギゾウムシは栗の実を食べても、糞を外に出しません。このことが潜んでいる虫の発見を難しくしています。

10月下旬~12月上旬になって栗の実が落下すると、幼虫は栗の実に3mm程の穴を開けて地中に潜ってしまいます。

地中内のクリシギゾウムシは蛹(さなぎ)の状態で越冬して、多くは夏ごろ成虫になって出現しますが、2年後や3年後に成虫になる個体も報告されています。

まとめ

固い栗の実に小さな穴を開けて産卵している害虫の代表は、クリシギゾウムシという昆虫でした。

栗の実は、痛いイガと固い皮、それに実を包んでいる渋皮で頑丈に守られています。

クリシギゾウムシは、栗農家の人からみると酷い害虫ですが、これ程、強固な3重の要塞に守られている栗の実を好んで食べる昆虫がいるとは驚きです。

クリシギゾウムシは、農家の人に見つからないように、糞を実の内部に留める知恵も持っています。栗農家の人にとっては憎い害虫でしょうが、生きる知恵を持った凄い昆虫です。