なぜ古代ハスの果実は、長期保管に耐えて発芽できたのだろう

古代ハスとは、数100年から数1,000年前の地層から発掘された種子を育てて発芽したハスのことです。ハスは保存環境によって、数1,000年もの間、発芽可能な状態で保管できることが判っています。この記事では、理由を分かり易く紹介しています。

ハスの花

ハスの花

▼目次

  1. 古代ハスとは何だろう?
  2. ハスの花托と果実とは?
  3. ハスの果実が長期間の保存に耐えた理由
  4. まとめ

1.古代ハスとは何だろう?

古代ハスと呼ばれるのは、数100年から数1,000年前の地層から発掘された種子を育てて発芽したハスのことです。

古代ハスで有名なものには、「大賀ハス」があります。

1947年の丸木舟などの発掘調査によって、ハスの堅い果皮の果実や花托(かたく)が偶然見つかりました。その場所は「落合遺跡(千葉県千葉市)」と名付けられ後に、「大賀ハス」が見つかった場所となりました。

当時、古代ハスの研究者だった大賀一郎博士は、地元の人々の協力を得て1951年「落合遺跡」からハスの種子を3粒ほど見つけて、内1粒の発芽に成功。

このハスは翌年の7月に開花して、米国の「Life誌」に世界最古の花として紹介され、世界中の話題になったのです。

《大賀ハスを古代ハスと認定した根拠》
ハスの年代測定は、同じ地層で発掘された木片で行っています。

年代測定に用いた木片は、落合遺跡の地層から発見された丸木舟の木片です。木片を大賀博士がシカゴ大学に依頼して放射性炭素年代測定で行っています。

木片の年代測定の結果は、3,075年±180年前と確認。

大賀博士は、この結果を受けて同じ地層で見つかったハスは、2,000年以上前のものとして公表しています。

2.ハスの花托と果実とは?

ハスの花托

ハスの花托

花托(かたく)というのは、被子植物が花を付ける柄(え)の先端部分のことで、ここに花びらや雌しべ、雄しべなどがつきます。

ハスの場合、花が咲いて落ちると、蜂の巣のような形状の花托が見えます。花托は、花びらや雄しべ、雌しべの土台になる部分をイメージすればよいでしょう。

ハスの果実は、蜂の巣の穴のように花托にめり込んでいて、多数の果実が集まる集合果の構造をしています。

成熟するとともに花托にめり込む果実の穴に隙間ができて、花托から水の中に落ちる準備を始めます。

ハスの果実の最外部は果皮と呼ばれる果実ですが、果肉は無くて硬いため堅果(けんか)と呼びます。一般的な堅果には、ドングリがあります。

3.ハスの果実が長期間の保存に耐えた理由

ハスの果実が長期保管に耐えた理由は、次のように、「ハスの果実が堅い」ことと、「生育環境」が影響したものと考えられます。

    • 果実が堅いための影響
      果皮が堅いと、水分や酸素が入りにくくなって代謝が進まない。そのため、発芽しにくい。
      果皮が堅いため、菌類の侵入を防御する効果が高く、胚の変質を防げる。
    • 生育環境(保存環境)による影響
      ハスの生育場所は湿地の土壌中のため、低温で光が遮断されていて果皮の劣化速度が抑えられていた。

以上のように、ハスの果実が堅いことと、低温で光が届かない保存場所の影響で長期間安定的に保存されたため、2,000年以上前の果実が発芽できたのでしょう。

4.まとめ

古代ハスとは、数100年から数1,000年前の地層から発掘された種子を育てて発芽したハスのことです。

有名なものには「大賀ハス」があります。

ハスの果実は堅いため、保存環境がよければ数1,000年もの間、発芽できる状態で保存されることが判っています。

数1,000年以上も前のハスの花が開花すると聞いただけでロマンを感じてしまいます。