前日まで元気に遊んでいたペットの小鳥が突然、かごの中で横たわっているのを見るのはショックです。この記事では、不可解な小鳥の突然死の原因を、鳥類の血圧と高脂質のエサによる体への影響に着目して検討しています。
▼目次
一般的な鳥の血圧はどのくらいなの?
一般的な鳥は、高血圧だと言われています。実際に、米国のカーネル大学で測定したデータを次に示します。下記の最高は最高血圧、最低は最低血圧、平均は平均血圧を意味します。
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- ニワトリ:「最高(175mHg)、最低(145mHg)、平均(160mHg)」
- シチメンチョウ:「最高(250mHg)、最低(170mHg)」
- カナリア:「最高(220mHg)、最低(150mHg)平均(185mHg)」
これらのデータは、全て安静時のもので、飛び立つときには血圧値は大きく跳ね上がります。
なお、食肉用に高脂質のエサを与え続けたシチメンチョウの最高血圧は、400mHgにも迫る高血圧でした。
鳥たちが高血圧の理由
血圧は、血液量にも影響されます。鳥たちの血液の量は、飛翔する鳥では、体重の10分の1程度ですが、人は体重の13分の1ほどのため、割合的には鳥の血液の方が多いことになります。
鳥の血液比が人よりも多いのは、飛び立つ時などに、充分な酸素を血液にのせて体中に急激に運ぶ必要があるからでしょう。
動物の血圧も必要に応じて高くなることが確認されています。
例えば、首の長いキリンの血圧は、頭まで血流を押し上げて酸素を供給するため、最高血圧は(260mHg)、最低血圧も(160mHg)と高血圧でした。
このように高血圧の生き物は大丈夫なのでしょうか?
ちょっと心配になりますが、鳥の心臓や血管は、高血圧に耐えられるように強くて柔軟性のある構造をしているし、キリンの長い首には血液が逆流しないように網目状の毛細血管があって、血圧の変化を吸収する構造になっていました。
鳥の寿命
自然界の鳥の寿命は、ストレスや食料不足で、誕生すると数年で命を落とす鳥もいて一概には言えませんが、野生のタンチョウの寿命は、平均20年〜30年ほどと想定されています。
さらに、飼育環境でのタンチョウは、50年〜80年と長い寿命です。タンチョウは大型の鳥のため、長生きするのでしょうが、鳥類の生物学的な寿命は、思っている以上に長寿命なのでしょう。
小鳥(ペット)の突然死
小鳥をかごに入れてペットとして可愛がる人は多いでしょう。
前日まで元気よく遊んでいた小鳥が、翌朝、かごの中に横たわっている姿を見るのはショックですが、多くの人が経験しています。
これは昔から、多くの飼い主を悲しませる問題で原因も判っていませんでしたが、脂肪分の多いエサを与え続けると、鳥は簡単に高脂血症になることが判ってきたことで、次のように推測することができます。
小鳥の突然死の推定原因
鳥の心臓や血管は、高血圧にも耐えられるような構造になっていますが、高脂血症になって血管が細くなると、脳や心臓疾患は増加します。
突然死した鳥を解剖して原因を確認したデータを見たわけではありませんが、もともと高血圧の鳥類は、脂肪分の多いエサを与え続けられると直ぐに高脂血症になることが確認されています。
ペットとして飼われている小鳥は、高脂血症になって、脳や心臓の血管がふさがれて突然死に至ったのでしょう。
ポイントのまとめ
一般的な鳥は、高血圧でした。特に、食肉用として、高脂質のエサを与え続けられたシチメンチョウの最高血圧は、400mHgに迫るほどの高血圧になることが判っています。
鳥の心臓や血管は、高血圧にも耐えられるような構造になっていますが、高脂血症になって血管が細くなると脳や心臓疾患は増加します。
ペットの鳥は、栄養価の高い食べ物を毎日与えられて高脂血症になってしまい、脳や心臓の血管がふさがれて突然死に至ったのでしょう。