昆虫が6本肢になった理由|4本肢の動物との比較から検討

カミキリムシ

カミキリムシ

6本肢は、4本肢に比べて消費エネルギー的には余分にかかるでしょう。自然界では無駄なものは淘汰されてしまうはずです。体の大きな動物たちの多くは4本肢です。では、何故小さな体の昆虫は、6本肢なのでしょうか? この記事では、昆虫の生息環境と動物たちが暮らす環境の比較などから分かりやすく紹介しています。

▼目次

  1. 身近にいる生物の肢の数
  2. 4本肢と6本肢を重心バランスで比べた場合
  3. 昆虫が6本の肢を必要とした理由
  4. ポイントのまとめ

身近にいる生物の肢の数

昆虫類は地球上の全動物の種類の75%を占めていると言われていますが、他の多くの動物たち(犬、猫、馬、カエル、トカゲ、ネズミ等)は、4本肢です。(あしという漢字には、足、脚、肢などがありますが、ここでは肢という漢字で通します。)

地球上の生き物の種の中で、3/4も占めている昆虫たちが6本肢であるという理由はあるはずです。

4本肢と6本肢を重心バランスで比べた場合

4本歩行の場合は、2本の肢を地面につけて、残りの2本を動かして歩きます。地面につけている2本は対角線上にある肢を使っています。対角線上にある2本の肢を接地していますが、体の動きと共に重心も移動するため、2本肢でバランスをとるのは難しいのでしょう。そのため、尻尾や身体全体の動きでバランスをとっています。

6本肢の昆虫では、3本の肢を接地して、残りの3本肢を動かしています。6本肢の昆虫は、3本の肢を接地できるので、体の重心は、接地した3本肢の内側になることから常に安定しています。

以上の点から、6本肢は4本肢の動物たちに比べて、バランスをとりやすく優位性があることは分かります。ただし、自然界では、ギリギリ必要な物だけを残して余分なものは淘汰されてしまいます。多分、6本も肢があるよりも。4本肢の方がエネルギー消費や、神経系なども少なくて済むでしょう。重心バランスが良好ということだけでは不自然です。

では、なぜ昆虫は、他の多くの動物たちのように4本肢にならないのでしょうか?

昆虫が6本の肢を必要とした理由

アゲハチョウ

アゲハチョウ

小さな昆虫たちは、平らな地面で生息するものは少なく、多くの種は、樹上で生活しています。樹上は、突風が吹いて揺れることや、平らな場所もなくて不安定です。脱皮する時には、体を思いきりのけぞらせなければなりません。

エサを見つける時や、天敵から身を隠すために、風で揺れる不安定な葉っぱの裏側につかまることや、垂直に伸びる木を登ることもしなければなりません。

多くの4本肢の動物は、地上で生活しています。昆虫よりも大きくて足元が平らな場所で暮らしている4本肢の動物にとっては、安定感よりも、消費エネルギーなどの点で優る4本肢を選択したと推測されますが、小さな昆虫たちが不安定な場所で生活するには、4本肢よりも安定感のある6本肢は必須だったのでしょう。

ポイントのまとめ

歩行時の重心バランスを考えると、昆虫の6本肢は、他の4本肢の動物よりも安定感があります。しかし、ギリギリ必要な物だけを残して余分なものは淘汰されてしまう自然界のおきてを考えると、納得できる回答ではないでしょう。

多くの4本肢の動物は、地上で生活しています。昆虫よりも大きくて足元が平らな場所で暮らしている4本肢の動物は、尻尾や身体全体の動きでバランスを補えます。4本肢の不安定性は何とかなるので、消費エネルギーなどの点で6本肢よりも優る4本肢を選択したと推測されます。

体の小さな昆虫たちが、風で揺れる不安定な樹上生活でも、しっかり体をホールドするために4本肢よりも安定感のある6本肢は、必須のアイテムだったのです。

現在、世界中で安定歩行できる6脚歩行のロボットが研究開発されています。それは災害現場などのような足元が凸凹した地面でも役立つロボットです。
地球上でもっとも種の多い昆虫の研究は、人々の生活に役立つ情報を提供してくれます。あまりにも種類が多すぎて、まだ研究されていないものも数多いと思います。大いに期待しましょう。