植物が正しく季節の変化を感じとって毎年同じ時期に開花する方法

キクの花

キクの花

花屋さんでは、キクの花は年中あります。これは温室栽培の成果ですが、植物は適正な開花時期をどのようにして知るのでしょうか。この記事では、多くの植物が開花時期を決める方法を植物の性質とキクの開花時期の調整方法などから、分かりやすく紹介します。

▼目次

  1. 植物はどのようにして開花時期を決めているのでしょう?
  2. ・多くの植物が開花時期を知る方法
  3. ・短日植物と長日植物
  4. ・アサガオによる実験
  5. 多くの植物が夜の長さの変化で季節を感じとる理由
  6. ・夜の時間の長さの変化を読みとる方法
  7. ・気温の変化を読みとる場合
  8. ・花を咲かせる時期を遅らせたい場合
  9. ・花を咲かせる時期を早めたい場合
  10. ポイントのまとめ

植物はどのようにして開花時期を決めているのでしょう?

日本では、キクの花は年中必要とされています。そのため、キクの花は温室栽培で一年中供給されるようになりましたが、温室栽培では何らかの方法でキクに開花時期を知らせて開花時期を調整しているのでしょう。
そんなことを考え始めると、キクの花だけでなく、自然界の花は、どんな方法で適正な開花時期を知るのか興味が湧いてきました。

・多くの植物が開花時期を知る方法

植物の花が咲く時には、ツボミを作り始めます。そして、ツボミを作り始めるきっかけは、「夜の長さを検知」することでした。

植物は、夜(暗い時間)の長さの変化を「葉」で感じることが判っていて、「葉」で感じた夜の長さの変化を認識して、ツボミを作りはじめていました。これが、多くの植物が、毎年同じ時期に開花する仕組みでした。

・短日植物と長日植物

    • 短日植物(たんじつしょくぶつ)
      夜(暗い時間)が長くなると、つぼみをつくる植物・・・秋に咲く花
    • 長日植物(ちょうじつしょくぶつ)
      夜(暗い時間)が短くなると、つぼみをつくる植物・・・春から初夏に咲く花

・アサガオによる実験

アサガオ

アサガオ


外部からの影響を受けない部屋で、アサガオを育てた時に、葉・茎・芽・根のひとつだけを光から遮断すると、「葉」を覆ったときだけツボミをつけることが確認されています。アサガオは「短日植物」で、夏至を過ぎて夜の時間が長くなると花を咲かせます。

多くの植物は夜の長さ(暗い時間)で季節の変化を感じとっていることになりますが、この方法を選んだ理由は何でしょうか?

多くの植物が夜の長さの変化で季節を感じとる理由

多くの植物は、夜の長さの変化で季節が変わったことを感じています。理由は、他の方法よりも早く、季節の変化を感じることができるからです。

・夜の時間の長さの変化を読みとる方法

例えば、夏至の日の場合は、次のような変化があります。

これから真夏になる夏至の日には、昼と夜の長さは同じですが、夏至を過ぎれば夜は長くなり、12月下旬の冬至に最も夜が長くなります(冬至を過ぎれば夜の時間は短くなります)。

このように夜の長さの変化は、気温が変化するよりも、2ヶ月も早く判ります。季節を先取りすることで、植物は花を咲かせるまでのプロセス(ツボミをつくる)期間を確保していたのです。

・気温の変化を読みとる場合

もしも、植物たちが気温の変化を感じ取っていたら、どうでしょうか?

暖冬や冷夏などの影響をダイレクトに受けてしまうため、その後の温度変化で枯れてしまうでしょう。

気温の変化を読み取る場合に比べて、夜の長さの変化は、季節の変化を的確に判断できる優れた方法だったのです。

キクの花で開花時期を調整する方法

温室栽培のキクの花の開花時期の調整は以上のような、植物の性質を利用して対応していました。

キクの花は夜が長くなるとツボミをつくる「短日植物」です。一定時間以上の暗さを感じると、ツボミをつけ始めます。

「短日植物」は光に敏感です。夜の暗闇に、弱い光が照射されるだけで反応してしまいます(夜と昼を間違えてしまいます)。温室栽培のキクは、この性質を利用して開花時期を調整しています。

・花を咲かせる時期を遅らせたい場合

夜間に照明をあてると、キクは昼と思い込んでしまいます。まだ夜の時間が短いと判断して、キクはツボミをつくらないため、開花時期が遅れます。

・花を咲かせる時期を早めたい場合

夕方になる前に温室内の光を遮断させてしまいます。キクは夜が長くなったと思い込んで、直ぐにツボミをつけはじめます。

ポイントのまとめ

植物が花の開花時期を調整する方法は、夜の長さの変化を「葉」で感じることでおこなっていました。

「夜の長さの変化」は、夏至と冬至を境にしているので真夏や真冬の時期を2ヶ月程先行して、開花時期の準備もできます。これは季節を間違えないで開花させる最適な方法でした。

何故なら、気温を見ていたのでは、日々の温度変動が大きくて不安定です。また、日照時間のモニターでは、曇りの日や台風の日などでは随分時間が変わってしまいますので、夏至と冬至による夜の長さの変化をモニターするのが最も安全で確実な方法なのでしょう。