アリとキリギリスの物語のように、アリは本当に働き者なの?

タンポポの花にいるアリ

タンポポの花にいるアリ

アリは働き者の代表として扱われることが多いですが、いつも一生懸命働いているわけではないことが分かってきました。アリにも多くの種類がいて、一概には言えないこともありますが、概ね一般的なアリの活動内容を知ることができます。

▼目次

  1. 物語に登場するアリ
  2. 研究者が見たアリの生態
  3. ・アリの寿命
  4. ・外を出歩くアリはどんなアリなの?
  5. ・人工の巣を観察して、わかったこと
  6. ポイントのまとめ

物語に登場するアリ

アリを観察すると、いつも忙しそうに動き回っています。イソップ物語の「アリとキリギリス」は世界中で有名ですし、旧約聖書のアリも、働き者として描かれています。
ところが、アリの研究者によると、現実はちょっと違っていたようです。

研究者が見たアリの生態

アリの社会は階級制度がきっちりしています。普通に外で見かけるようなアリは、どの種類のアリも「働きアリ」の階級です。この「働きアリ」は、働くことに特化していて、飛ぶための翅(はね)やその他のパーツはありません(無くなっています)。
ちょっと可哀想ですが、「働きアリ」は消耗品のような存在です。次に研究者が観察したアリの社会を見てみましょう。

・アリの寿命

「働きアリ」は全てメスのアリで、寿命は1年から2年程です。これは、アリの種類によるものではなく、アリの役職で決まります。女王アリも元々は働きアリになるタマゴから生まれてきますが、寿命は10年から20年程度と長寿です。どんなタイミングで何をすれば女王アリになるのかは、まだ確認されていません。
(ミツバチの場合は、ローヤルゼリーのみで育てられた個体が女王蜂になることが知られていますが、アリについては、まだわかっていないそうです。)

また、女王アリが長寿な理由も「栄養が豊富な食べ物を食べているため?」或いは、「抗酸化物質を体内にもっているため?」などという推定に留まっています。

・外を出歩くアリはどんなアリなの?

外に出てエサを探すなどしている働きアリは、主にベテランのアリで、巣全体の3〜5%程と言われています。以外に少ないですが、巣の中には外を出歩くアリの20倍以上もの働きアリたちがいることになります。
つまり、巣内にいる若い働きアリは、巣の中の仕事が中心です。考えてみれば巣の外には危険がいっぱいあります。アリは、役割分担する組織社会ですから、経験豊富なベテランのアリが外で働くのは理にかなっているのでしょう。

・人工の巣を観察して、わかったこと

顕微鏡をのぞく女性

顕微鏡をのぞく女性

研究者が、アリを観察するための人工儀巣(じんこうぎそう)を作って飼育観察した結果、次のことが確認されています。(人工蟻巣は、働きアリと女王アリを含めたコロニーです)

  • 巣内の「働きアリ」は、お互いに寄りそって、じっとしている。
  • 巣内の「働きアリ」が忙しく働く時は、幼虫を育てなければならない時期や、餌(えさ)を取り込む時、または巣が外敵に襲われた場合などに限られていた。
  • 巣の外で働きアリが盛んに活動するのは、春から夏の時期に幼虫が食べ物を必要としている理由が主でした。
  • 外で活動するアリは、仕事を終えると、巣に戻りますが、暫く巣の入口付近で休憩しているようなアリもいます。常に全力で働くわけではなかった。

ポイントのまとめ

アリの行動の意味は、まだ判っていないことが多いのですが、どうやらアリが一生懸命働くのは、必要にせまられた場合に限られるということでした。
食うか食われるかの自然界で生存競争をしているのですから、無駄なエネルギーは使わないで緊急時のために備えているのでしょう。
人が働きアリの活動を見ているのは一部分にすぎません。そのため、実際のアリの生活とは、かけ離れているのかもしれません。

人も一生懸命仕事をすることだけを美徳とする世界観は、変えなければいけないのでしょう。