ササゴイはゴイサギに似ているサギの仲間ですが、釣り人と同じように、エサで魚をおびき寄せて漁をする鳥です。ほぼ世界中にいて、地域に合っている方法で漁をすることでも知られています。そんなササゴイの素晴らしい漁の一例を紹介しています。
▼目次
①釣り人と同じように魚を獲るササゴイとは
道具を使って虫を獲るカラスのことは知っていましたが、エサを撒(ま)いて魚を自分の近くにおびき寄せて、捕まえる「ササゴイ」というサギの仲間がいるとは知りませんでした。
ササゴイはゴイサギに似ているサギの仲間です。ペリカン目サギ科ゴイサギ属で、何となくペリカンの雰囲気もあります。
ほぼ世界中に生息している夏鳥で、夏になると日本の本州、四国、九州にも飛来しますが、冬は九州などの暖かい地域で留鳥または、冬鳥として過ごします。
体は、ハトとゴイサギの中間ぐらいの大きさで、ゴイサギのクチバシを長くしたような風体です。
サギ類は、河川や湖の付近にある森などの樹に巣を作って、さまざまな種が同じエリアで子育てをしますが、ササゴイはササゴイだけの集団で営巣、繁殖します。
②ササゴイの魚の獲り方
ササゴイは、浅瀬を魚に気づかれないようにゆっくり歩いて、近づいてくる魚を長いクチバシでくわえて捕まえますが、この方法ではチャンスが少ないため、次のような方法で魚を捕まえることを覚えたようです。
②-1.投げエサ漁
魚たちは、昆虫などが水面に落ちると素早く飲み込む習性があります。ササゴイは、このような魚の習性を利用して漁をします。
エサなどをクチバシにくわえたササゴイは、魚に気づかれないように身をかがめて、水面にエサを落とします。その振動や音などに気づいた魚は、エサをめがけて突進してきます。この時、魚がササゴイの捕獲範囲内に入ると、すばやく跳びついてくちばしでくわえてしまいます。
②-2.水前寺公園や江津湖での凄い技
熊本市の水前寺公園や隣接した江津湖では、ササゴイによる「投げエサ漁」の進化版の漁をみることができます。
その方法は、次のようなものです。
「投げエサ漁」の進化版で行うと、エサを投げ込んでから魚を捕まえるまでの時間は、1秒以内でしょう。
それ程、すごい方法とは、投げたエサに近づいてくる魚を待つのではなく、『ササゴイの捕獲範囲内に入った魚の目の前をめがけて、エサを投げ込むという方法です。』
ササゴイの漁の仕方は、個体や、その時の条件で異なりますが、世界のどこを探しても、これ程効率の良い方法で対応している個体はいません。水前寺公園と江津湖だけだと言われています。
②-2-1.進化版の漁が生まれた背景
熊本市の水前寺公園や江津湖は、湧水(ゆうすい)に恵まれていて、とても澄んでいます。そのため、ササゴイからは、魚を見つけやすくて魚の動きをじっくりながめることができるのではないでしょうか。
その反面、魚からは、ササゴイの姿も見えやすいために、じっくりと策を練り、失敗の少ない漁を考えざるを得なかったのでしょう。
③ポイントのまとめ
鳥の頭脳はすばらしいということは、気づいていましたが、ササゴイの漁の仕方には工夫があって驚かされました。
人の世の中も、「思い通りにいかないのが人生だ」と言われていますが、困ったことがあった方が、長い目でみれば良いのかもしれません。