合理的な鳥の編隊飛行は、見えない空気の流れを捉える飛行方法

白鳥の編隊飛行

白鳥の編隊飛行

渡り鳥などのV字編隊飛行は、長距離を飛ぶためのエネルギーを節約するための無くてはならない手法と言われています。この記事では、この実態を調査したロンドン大学の獣医学博士のSteven Portugal氏による確認結果を、分かりやすく紹介しています。

▼目次

  1. 合理的な鳥の編隊飛行
  2. ・鳥の編隊飛行のメカニズム
  3. 調査で確認された編隊飛行の謎
  4. ・Portugal博士の調査で分かったこと
  5. ポイントのまとめ

合理的な鳥の編隊飛行

白鳥等の大型の鳥が群れで飛ぶ場合に、「逆V」字型や「へ」の字型で飛ぶ姿は、頻繁に目撃されます。これは、翼を上下動させた時に発生する「翼端渦流(よくたんかりゅう)」と呼ばれる空気の流れを利用して、エネルギーを節約しているためと言われています。
白鳥などの鳥は、数千キロも渡りをするために、想像以上に省エネ飛行は必須なのでしょう。

・鳥の編隊飛行のメカニズム

鳥の翼を上下動で空気は押されます、その反動で鳥の身体は持ち上げられて飛ぶことができます。この時、翼の下側は気圧が高く、上側は気圧が低くなります。つまり、体を上に引っ張り上げるような揚力が働きます。

ところが、翼の端の方では、揚力は生まれません。気圧の高い空気は翼の先端や、下から上に移動して、翼の端では渦のような上昇気流になっています。これが「翼端渦流(よくたんかりゅう)」です。

この「翼端渦流」の上昇流を後続の鳥が上手に捉えられれば、体を持ち上げる力(揚力)として利用できますが、鳥は羽ばたくので、目に見えない空気の流れを捉えるのは難しいことです。

調査で確認された編隊飛行の謎

鳥の編隊飛行は下から見ていると同じ高度を飛んでいるように見えますが、後続の鳥は、前の鳥よりも少しずつ高いところを飛んでいます。前を飛ぶ鳥の翼から生じる「翼端渦流」を利用してエネルギーの節約をしているからでしょう。

しかし「翼端渦流」は、鳥の翼から生まれる乱気流のようなもののため、羽ばたく状態によって、その都度変化してしまいます。

下から見ていると同じ編隊で飛んでいるようにしか見えませんが、おそらく、後続を飛ぶ鳥たちは、前を飛ぶ鳥の翼の状態に応じて、鳥との距離や高度などを微妙に調節して、最も揚力を受けやすい状態を保っているのでしょう。

でも、実際にそんなことをしているのでしょうか? そんな複雑で難しいことが可能なのでしょうか?

この謎を確認するため、ロンドン大学の獣医学博士のSteven Portugal氏は編隊飛行をするトキに、高精度なGPSと加速度センサーを付けるのと同時に、超小型飛行機に乗って、編隊飛行の鳥を見ながら調査をしています。

・Portugal博士の調査で分かったこと

V字飛行

V字飛行

調査機材から得られたデータでは、編隊は常に、1.2メートルの間隔を保っていました。さらに翼が羽ばたく角度は、平均45度の遅れに保たれていました。

先頭の鳥の羽ばたくタイミングは一定とはかぎりませんが、後続の鳥は、常にそれを察知して羽ばたいていることになります。

Portugal博士の調査結果で分かったことは、鳥の編隊飛行は、複雑な数学を駆使して理論を作り上げた「空気力学的理論値」と一致していたことです。つまり、人が出来ないだろうと考えていたことを鳥たちは、やっていたのです。

 

ポイントのまとめ

鳥の編隊飛行は、長距離を飛ぶために必要な合理的な方法でした。何故、鳥が、目にみえない空気の流れをよんで、合理的な編隊飛行をみにつけられたのかは不明ですが、渡り鳥にとっては、過酷な自然の中で生きていくために必死で獲得したエネルギー節約方法だったのでしょう。

尚、ペリカンに心拍モニターを付けた調査では、先頭を飛行する鳥の心拍数の方が、後続の鳥よりも高いことが確認されています。

先頭を飛行している鳥には、常に大きな負荷がかかることになりますが、英国のオックスフォード大学の研究チームによる論文では、編隊飛行中の鳥は頻繁に位置を変えていて、先頭に立つ時間は均等に分担していることが確認されています。

編隊飛行は、鳥たちが協力して行動する素晴らしいものでした。