昆虫が複眼を選んだ理由|昆虫の複眼の実力はどのくらいなの?

トンボの複眼

トンボの複眼

昆虫の主要な眼は、複眼です。この記事では、昆虫が個眼よりも複眼を選んだ理由や、複眼の視力、複眼の優れた仕組み、さらに昆虫が保持している単眼の特別な能力などについて分かりやすくコンパクトに紹介しています。

▼目次

  1. 昆虫が複眼を選んだ理由
  2. 昆虫の複眼の実力は?
  3. ・複眼の視力
  4. ・複眼の優れた仕組み
  5. ポイントのまとめ

昆虫が複眼を選んだ理由

オニヤンマ(トンボ)の複眼は1万個くらいの個眼からできています。
何故、昆虫の眼は、人の眼のように単眼(1枚のレンズ)ではなくて、複眼なのかと思っている方は多いでしょう。

この答えは、昆虫が単眼にしなかった理由を考えてみると分かります。

《単眼にしなかった理由》
レンズを使って物をみると、像はレンズの後ろに作られます。レンズの焦点距離はレンズの直径とほぼ同じです。仮に、トンボの眼を人と同じ1枚のレンズにすると、レンズの直径は5mmぐらいになって、焦点距離も5mmぐらいになります。

つまり、昆虫のような小さな体では、焦点距離を確保できないため、単眼(1枚レンズ)では眼を作れないのです。

昆虫は体が小さいために、焦点距離を必要とする単眼(1枚レンズ)では、物を見ることができないため、複眼を選ぶしかなかったのでしょう。

《複眼なら小さな昆虫でも機能するの?》
複眼は直径、0.03mmぐらいの小さなレンズのため、小さな昆虫でも眼として機能します。

では、複眼の視力はどのくらいなのでしょうか?

昆虫の複眼の実力は?

トンボなどの昆虫は、素早い動きで飛んでいるハエなどを捕まえることができます。昆虫の眼の実力はどのくらいなのでしょうか?

・複眼の視力

オニヤンマの複眼は、1万個の個眼で作られていて、100×100に相当します。これは、視界を縦横のそれぞれを100分割している1万画素の粗い写真に相当します。
視力換算では、0.01にも満たない、ピンボケの画像になります。

スマートフォンなどのカメラでも、1200万画素越えのものがある時代です。現代人では、1万画素の画質では耐えられないでしょうね。

・複眼の優れた仕組み

花とミツバチ

花とミツバチ

昆虫の複眼の視力は思っている以上に粗いようですが、複眼には優れた仕組みもあります。また、昆虫には複眼だけでなく、種によって個数の違う単眼も備わっています。次にこれらの役割を紹介します。

 

《複眼にすると通常よりも広い範囲が見える》
昆虫と同じレンズ構造のカメラを使うと普通のカメラよりも広い範囲が撮影できることが判っています。つまり、複眼の昆虫は単眼で見るよりも広い範囲で見ていることになります。

後方にいるエサや天敵を素早く見つけることもできます。ちなみにトンボの複眼は、360度の全ての範囲を見ることができると言われています。

トンボなどの昆虫は首がないので後ろを見る時には、体の向きを変える必要があると思っていましたが、実は、見ていないふりをして後方も見えていたのです。

《見える波長の範囲が違う》
昆虫は、人とは違う色を見ることができます。それは、検知できる波長の光が違うためです。

人の場合は、400〜800ナノメートルの波長の光を色としてみることが出来ますが

昆虫、例えば、ミツバチの場合は、300〜700ナノメートルの光を色として見ています。

ミツバチは人が見ている波長の長い、赤系色は判別できませんが、黄色や青色などの、人には見えない紫外線まで色として見ることができます。

ミツバチのように紫外線が見える昆虫にとっては、花の真ん中は黒色に見えます。植物が、花の中央部に紫外線を吸収する仕組みを作って、花粉や蜜の場所を黒く見えるようにしているからです。

もちろん、紫外線を見ることの出来ない人には、同色の花にしか見えません。

 

《昆虫の単眼の特別な能力》
昆虫は複眼だけでなく、種によって数の異なる眼(単眼)も持っています。単眼の焦点は合わないため、視力には寄与しませんが、偏向フィルターの役目をしています。

偏向とは一つの方向にそろった波の光のことです。

偏向フィルター入りの眼鏡をかけると、不要な波の光をカットして、見にくいところが見やすくなります。

例えば、白一色で見にくいスキー場のゲレンデでも、凸凹しているコブが強調さるようになります。

また、偏向フィルターを使って空をみると、場所によって明るさが違って見えます。

これは、太陽の動く位置に応じて変化する偏向パターンがあるためです。

この偏向フィルターの機能を備えた昆虫(例えばミツバチ)は、青空が一部でも見えれば、偏向パターンから太陽の位置を判別して、太陽の位置から巣の方向が判ると言われています。

複眼の視力は落ちますが、昆虫は、複眼以外の機能で精度を補っているのでしょう。

ポイントのまとめ

昆虫は小さい体のため、単眼(1枚レンズ)では焦点距離を確保できず、やむを得ず複眼を選んだようですが、複眼には、「広角で見ることができる」、「紫外線を見ることもできる」等の優れた機能もあります。

さらに、昆虫は複眼の粗い視力を補うため、昆虫が持っているもう一方の眼である、単眼の偏向という機能を使って対象物を見やすくすることや、方向の設定など、複眼の精度の補足をしていました。