アリにタネを運んでもらう植物のしたたかさ|種子分散共生とは?

共生の関係

共生の関係

植物は、自分で移動できないため、タネにアリの好きな食べ物を付けて巣まで運んでもらう方法を考えました。アリによる種子分散共生と言われる手法です。この記事では、具体的な事例と変な理屈をつけますが、面白くて、内容の理解の助けになるでしょう。

▼目次

  1. アリが植物のタネを運ぶ理由
  2. アリによる種子分散共生とは?
  3. ・エライオソームとは?
  4. ・エライオソームをタネに付ける植物
  5. 種子分散共生をする理由
  6. ポイントのまとめ

アリが植物のタネを運ぶ理由

子供の頃に、アリが植物のタネのようなものを運んでいたことを思い出しましたが、考えてみるとアリは、植物につく虫などを食べるのが普通です。

調べると、アリは植物のタネを分散させる代わりに、栄養をもらっていることが判りました。その内容を紹介します。

 

アリによる種子分散共生とは?

スミレの花

スミレの花

アリは確かに植物の種を運んでいました。ただし、アリが運んでいたのは、植物のタネに付いているエライオソームというゼリー状の物質を食べるためでした。

アリは、植物のタネを巣穴に持ち帰ると、タネとエライオソームを分離してエサにします。不要になったタネは、アリの巣の近くの、ごみ捨て場に廃棄します。

アリのゴミ捨て場に捨てられたタネは、そこで発芽します。自分では動くことのできない植物ですが、アリにタネを運んでもらうことで、新しい場所で新芽を生育させることができるのです。

アリは、タネを運ぶ代わりに、エライオソームという栄養を植物からもらっていました。

このような一連の対応のことをアリによる種子分散共生と呼びます。

 

・エライオソームとは?

エライオソームは、グルタミン酸などのアミノ酸、ショ糖などの糖、そして、オレイン酸などの脂肪酸を含んだゼリー状の物質で、アリを誘引することが判っています。

では、エライオソームは、どんな植物のタネに付いているのでしょうか。

・エライオソームをタネに付ける植物

エライオソームをタネにする植物は、スミレ科、ユリ科、ケシ科、アオイ科、シソ科、カタバミ科などで、およそ200種もあると言われています。

 

種子分散共生をする理由

考えてみると、種子分散共生という行動は、アリにとっては、餌を探して巣に持ち帰って、不要なごみを廃棄するだけですから、何も特別な行動ではありません。

しかし、植物は種子分散共生をするために、タネに特別な栄養分を付けることまでしています。そんなことまでするには特別な理由があるはずです。

次の内容は、植物学者たちが、それぞれのケースで考えた想定です。

《乾燥地帯の場合の植物のメリット》
乾燥地帯では、アリ分散の植物は多く、その理由は、アリのゴミ捨て場は、他の乾燥した地面よりも種子が芽生える栄養条件が良いためと説明されています。

これは、素人が考えても、納得しますが、栄養が十分にある日本の雑木林には当てはまらないでしょう。

《温帯林での植物のメリット》
日本の雑木林と同様に栄養素に富んだ温帯林の植物では、アリ分散のメリットはあるのでしょうか?
次のように推論されています。

親植物の近くでは、タネを捕食する動物や虫が目を光らせていますが、アリに運ばれたタネは、捕食者から離れた場所に逃れられるという理屈です。

何となくわかりますが、しっくりしません。

それでは、捕食者から狙われない程、小さなスミレのタネなどは、何故、アリ分散をするのでしょうか。

《スミレ科などの植物のメリット》
スミレは、日の当たる明るい場所を好む植物です。アリの巣も明るい場所にあるため、その付近に捨てられるのは好都合だという理屈です。

う〜ん、説得力があるような、ないような感じですね。

 

ポイントのまとめ

アリは、植物のタネに付けられた栄養素(エライオソーム)を食べるために、植物のタネを巣に運んでいました。そして、植物は、アリがタネを運んでくれる仕掛けとして、エライオソームという栄養素をタネに付着させていました。

植物がタネに栄養素を付着させることまでして、アリにタネを運んでもらう種子分散共生をする理由は、植物学者が推論しているような、さまざまな理由があるのでしょう。

 

単純に、同じ場所で育つと、何かあった時に、全て絶滅するリスクがあるので、危険分散したいと考えているのかもしれません。

実験観察によると、日本にいる、クロヤマアリなどの普通のアリは、エライオソームの付いているタネに寄ってきて巣に持ち帰るそうです。

アリは、単独でタネを運ぶだけでなく、集団で運ぶ場合もあるので、エライオソームが付いているアケビの実のような大きなものでも運んでしまうと推測されています。

このようなことを知ると、植物のしたたかさを感じざるを得ませんね。