自家受粉を避けるためのホタルブクロの特別な工夫

ホタルブクロの花

ホタルブクロの花

自分のオシベで受粉する自家受粉は、正常な子孫を残せなくなる可能性が高くなるため、様々な方法で避けようとします。ホタルブクロは、とても可愛らしい花ですが、複雑な方法で自家受粉を避けています。この記事では、ホタルブクロの手法を簡潔に紹介します。

▼目次

  1. 自家受粉を避けたい植物の気持ち
  2. ・自家授粉を避けるためのホタルブクロの工夫
  3. ホタルブクロとの出会い
  4. ポイントのまとめ

自家受粉を避けたい植物の気持ち

動物がそうであるように、植物も、自分のオシベで受粉する自家受粉をすると、正常な子孫を残せなくなる可能性が高くなります。

そのため、自家授粉を避けて、できるだけ同種の他の花粉で受粉したいと考えています。

 

・自家授粉を避けるためのホタルブクロの工夫

ホタルブクロは、自分のオシベで受粉しないように、次のような工夫で対応しています。

  1. ホタルブクロ(A)のオシベは、まだ花が咲ききらない時に、既に成熟していて、葯(やく)から出した花粉を(A)のメシベの側面に付着させます。
  2. メシベの側面に(A)のオシベが付いても、(A)のメシベは成熟していないため受粉しませんが、(A)のオシベの花粉が付きやすいように細かい毛を周囲に密生させています。
  3. (A)のオシベは、(A)のメシベの周りに花粉をつけると、しおれてしまいます。
  4. やがて、(A)の花が咲き始めるとポリネータのトラマルハナバチがやってきて、ホタルブクロの袋状の花の中に入り込みます。体がぴったり合っているので、まだ成熟していない(A)のメシベの周りに付いている(A)のオシベは、確実にハチに受け渡されます。(A)のオシベの花粉を付けたハチは、別のホタルブクロ(B)の花に向かいます。(B)のメシベが成熟していれば、(A)のオシベが(B)のメシベに付いて受粉します。
  5. やがて、(A)のメシベが熟成時期をむかえる頃までには、(A)のメシベの周囲にある細かい毛は脱落します。この時、(A)のメシベに付着していた、(A)のオシベも落ちて無くなります。
  6. このような仕組みのため、 (A)のオシベは、(A)のメシベが成熟した時には、既に存在しないため、自家受粉しません。

 

この一連の機構は複雑ですが、自分の花粉を他のホタルブクロに供給して、他のホタルブクロからの花粉を受粉する仕組みとしては、とても精巧に作られています。

このような仕組みで自家受粉を避ける手法は、キキョウやツリガネニンジンなどでも持っています。

 

ホタルブクロとの出会い

ピンク色のホタルブクロ

ピンク色のホタルブクロ

夏の初め頃、河川敷の土手に紫色の袋のような花が咲いていました。これが、ホタルブクロとの出会いです。

ホタルブクロの名前は、子供が袋のような花の中にホタルを入れて遊んだことに由来しているそうです。本当にホタルを花の中に入れてみたいと思うような花です。

花の中でホタルが光ると、ピンクの袋がうっすらと明るくなりそうです。

ホタルブクロの原産地は日本や朝鮮半島、シベリア東部で、比較的寒冷地ですが、花が咲く時期は初夏ですからホタルが出てくる時期と重なりそうです。ホタルとホタルブクロに、同時に出合うチャンスがあったら、ホタルをホタルブクロの花に入れて様子を見たいと思います。

 

ポイントのまとめ

動物と同じように、植物も、自分のオシベで受粉する自家受粉は、正常な子孫を残せなくなる可能性が高くなります。自家授粉を避ける手法は植物によって、さまざまですが、ホタルブクロの方法は、かなり複雑です。

 

簡単に言うと、オシベとメシベの成熟時期をずらして、自家授粉を避ける手法です。

周囲にある、成熟した同種のホタルブクロには、自分の花粉を提供して受粉させながら、自分のオシベによる自家受粉は避けるという絶妙な手法です