托卵は、他の種の鳥の巣内に、入り込んで自分の卵を産んで育ててもらうカッコウ科の鳥がする繁殖習性です。育ての親鳥に頼むのではなく、親鳥が見ていない時に、親鳥の卵を捨てて、自分の卵を育てさせます。托卵について分かりやすく紹介しています。
鳥の托卵とは?
普通の鳥の繁殖は、巣作りをして卵を産み、抱卵(ほうらん)して雛(ひな)を孵(かえ)します。鳥の種類によっては、ヒナが飛び立つまでは、生きるために必要な教育まで行います。
托卵(たくらん)は、それらの行為を全て他の種類の鳥に委託してしまうものです。委託と言っても、托卵をしてもらう親鳥の隙をみて、かってに巣に忍び込んで、そこにある卵を1個捨てて、自分の卵を産んで逃げるのです。
親鳥に気づかれると自分の卵として育ててもらえないため、数秒で行います。
・托卵をする鳥
托卵をする鳥は、カッコウ科に属する鳥たちです。托卵の研究は、欧州で進んでいたのですが、欧州では「カッコウ」の1種類しかいないため、4種類(カッコウ、ツツドリ、ジュウイチ、ホトトギス)もいる日本で研究が進みました。
・托卵される側はどんな鳥なの?
托卵は、親鳥に判らないように卵の色が似ている種類に托卵します。
例えば、ホトトギスの卵はチョコレート色のため、これと同色のウグイスに托卵します。カッコウの場合は卵の模様が似ているモズ・ホオジロ・オオヨシキリ等に托卵します。そして卵の色が淡青色のジュウイチは、同じような淡青色のコルリやオオルリの巣に托卵しています。
尚、ツツドリは、本州では白色の卵を産みますが、北海道では赤色を産んだ例も見つかっていて、まだまだ研究調査することは多いそうです。
托卵される鳥はだまされるだけなの?
托卵される側の鳥だって、気づくこともあるでしょう。その証拠に、特定の地域のホオジロは、カッコウの托卵を拒否することも確認されています。
そのため、カッコウは、まだ警戒心が少ない「オナガ」の巣を托卵に変更したことが判っています。
これは宿主の切り替えが短期間でも起こるという事例です。
その一方で、現在でもウグイスの巣に托卵しているホトトギスは、およそ1300年前の万葉集にも、その関係が詠まれています。
托卵は、一見酷い行為に見えますが、托卵をしなければ生きていけないカッコウ科の鳥たちも必死で生きる道を探していたのでしょう。
まとめ
普通の鳥は、巣作りをして卵を産み、抱卵(ほうらん)して雛(ひな)を孵(かえ)しますが、托卵は、それらの行為を全て他の種類の鳥に委託してしまうものです。委託と言っても、かってに巣に忍び込んで、巣にある卵を1個捨てて、自分の卵を産んで逃げるのです。
托卵をする鳥は、カッコウ科に属する鳥で、カッコウ、ツツドリ、ジュウイチ、ホトトギスの4種です。
托卵は、酷い行為に見えますが、托卵される側の鳥も托卵されないように行動するため、簡単にはできません。
尚、カッコウ科の鳥には、托卵しなければ卵が育てられない事情があるようです。