タネなしの果物の作り方|染色体の性質と倍体数による交配有無

スイカ種無し

スイカ種無し

近年、スーパーマーケットでも、タネなしの果物が、販売されています。果物を食べる消費者にとっては食べやすいからです。ただし、タネなしの果物はどのように作られるのでしょうか? この記事では、分かりやすくタネなし果物の作り方を紹介しています。

▼目次

1.タネなしの果物の作り方

生物の遺伝子は染色体に組み込まれていて、染色体の数は生物種によって決まっています。
この染色体に変異を起こさせることで、タネなし果物は作られています。

 

1-1.染色体の性質

タネなしの果物をどのようにして作っているのかを知るには、遺伝子や細胞分裂のことを少しだけ理解する必要があります。

例えば、人の場合には、46本の染色体がありますが、半分の23本を1セットとして、両親から2セットを受け継ぐことで、46本の染色体になります。

人のように2セットの染色体を持っている生物を、二倍体と呼んでいます。動物の場合は二倍体ですが、植物では三倍体や四倍体、六倍体のものもあります。

 

2.タネなし果物の具体例

植物では、例えば、二倍体のものが突然変異や、体細胞分裂の際の乱れなどによって、三倍体、四倍体などと、違う倍数体になることがあります。

この性質を利用してタネなし果物はつくられています。

 

2-1.タネなしスイカの場合

タネなしスイカは、次の方法で作ります。

普通の二倍体の植物(スイカ)を発芽させ、コルヒチンという薬品をかけると、四倍体になる性質があります。
コルヒチンで出来た四倍体のメシベに、普通の二倍体の花粉を受粉させると三倍体の種子が実ります。

 

この三倍体の種子からタネ無しスイカができます。

タネなしスイカの種子(三倍体)を育て、普通の二倍体の花粉を受粉させるとスイカは実ります。但し、タネがないタネなしスイカです。

 

2-2.タネなしビワの場合

タネなしビワは、四倍体(田中)のビワと、二倍体(長崎早生)ビワを交配させて三倍体のビワを作ります。この三倍体のビワを接ぎ木して、花粉の代わりに特別な薬品(ジベレリン)処理をすると、タネなしビワができます。

 

3.倍数体の違いで、結実する時と、しない場合がある理由

ビワの実

ビワの実

スイカやビワでは、二倍体と四倍体を交配させて三倍体を作っていますが、二倍体と三倍体ではタネができません。

この性質を利用して種無しの品種は作られますが、倍数体によって結実するものとしないものがある理由は何でしょうか?

 

3-1.二倍体と三倍体では交配できない理由

植物は受粉すると、メシベとオシベの2つの細胞から1つの細胞を作るため、あらかじめ細胞の数を減らす必要があります。これが減数分裂です。

三倍体が減数分裂しても、染色体の本数を当分に分けられません。1対2の比率になってしまいます。

これが、二倍体と四倍体では交配できるけれど、二倍体と三倍体では交配できない理由です。

 

4.気軽に食べていたタネなし果物から判ったこと

タネなしの果物は、当たり前になってきましたが、これを作るため、植物の遺伝子操作や薬品を使って生殖細胞を分裂しにくくするなどの工夫をしていました。

ただし、子孫を作るためにタネ有りの果物も育てられているのでしょうね。これについては、別の機会に紹介します。