普段は、日常生活に振り回されて地球の磁場のことなど考えませんが、地球には磁石の性質があります。チバニアンは、そんなことを考えさせてくれました。この記事では、地球が磁石だという証拠や、発見の背景、発見者などについて紹介しています。
1.地球は大きな磁石
地球には南極と北極があることは誰でも知っていることですが、地球が磁場(地磁気)を持っていることは、知っていてもあまり意識していないでしょう。地球の磁場(地磁気)のことを考えさせてくれたのは、磁場(地磁気)が反転した証拠として、チバニアンが注目されたからです。
地球の磁場(地磁気)を調べると、地球の磁場(地磁気)は、有害な宇宙線などから生物を守っている、とても重要な役目をしていることが書かれています。
そんな地球の磁場(地磁気)のことを整理して紹介します。
2.地球が磁石という証拠とは?
今では地球が巨大な磁石であることに異論を唱える人は少ないですが、何故地球が磁石だと考えるようになったのでしょうか?
2-1.地球の磁石はいつ発見されたの?
地球に磁場(地磁気)があることは、1,000年前の中国では知られていました。盆に水を張って、薄くて軽い棒磁石を浮かべると常に磁石の針が南を指していることが判っていたからです。
中国では、この性質を利用した「指南針」と呼ばれる方位磁石も作られていました。
中国の発見は、アラビアを経由してヨーロッパにもたらされ、磁石の性質を利用した羅針盤が開発されています。
羅針盤は、15世紀の大航海時代には、船を安全に航行するために無くてはならないものでした。
2-2.地球は磁石だと誰が見つけたの?
大航海時代になって船による探検や貿易が広がると、地球上の様々な地点で、磁場(地磁気)が測定されるようになりました。
これらの測定データを分析すると、地図上の北と方位磁石の針が指す北とは少しだけずれていて、場所による違いも確認されました。このずれは偏角と言われるものです。
また、北を指している針の先は少しだけ下を向くことも確認されました。針の先が下を向くずれは、「伏角(ふっかく)」と呼びます。
これらのずれ「偏角と伏角(ふっかく)」の発見は、地球の中に巨大な棒磁石があることの発見につながります。
イギリス人の医師(ウィリアム・ギルバート)は、これらのデータを分析して、1,600年に出版した「磁石論」の中で地球は磁場に貫かれていることを証明しています。
ギルバート医師による磁場(地磁気)の説明は、基本事項をほぼ網羅(もうら)するほど素晴らしいものでした。
地球が磁石だということを発見したギルバート医師の名前は、地磁気の磁気的な変化を表す目盛りに使われて業績を讃えられています。
3.地球が磁石になる不思議って何?
地球は磁石だということが発見された16世紀には、「地球は巨大な(永久)磁石」のように考えられていました。ただし、磁気(地磁気)を生み出している原因については、判っていません。
理由は、地球の内部温度は、磁石の性質が無くなるほど高温だからです。
3-1.地球の内部温度と永久磁石の性質
地球の中心(核)は、摂氏6,000℃を超えるほど高温で、表面に行くほど温度は下がります。
ただし、地球の表層の大陸プレートや、海洋プレートの直ぐ下にある、上部マントルでさえ(1,500~2,000℃)と高温です。
しかし、永久磁石は高温に弱くて、摂氏600℃以上になると磁石の性質を失ってしまいます。
つまり、磁場(地磁気)は、永久磁石ではない、別の仕組みで磁石が作られていることになります。
現在では、ダイナモ理論が有力で、大型のコンピュータを使って解析が進められています。
尚、直接観測することのできない地球内部の構造や、地球の自転による影響など、不明点が多いため、まだ想像が膨らむ世界です。
3-1-1.ダイナモ理論
ダイナモ理論とは、地球などの天体が、地中内部で流体運動をしているため、大きな磁場を作る働きを示したものです。
地球は、電気を伝える鉄成分を含んでいて、高温で溶かされた地中内部は、流体運動をしています。地中内部は、電気を伝える鉄成分を含んでいて、元々地球が持っていた磁場と相互作用を起こして、大きな磁場を作る働きをしていると考えられています。
4.まとめ
地球は、大きな磁石です。
地球上の生物は、磁石の働きのお陰で、有害な宇宙線などから守られていると言われています。
チバニアンは、地球の磁場が反転した証拠です。
磁場が反転したことは、繰り返されていますが、その度に磁場が地球から消失したことを意味しています。
これは、誰も経験することのできない宇宙の壮大な歴史の中の一コマです。どんなことが起こるのだろう?