カミキリムシは害虫ですが、力が強いだけではありません。見た目も色々あって、興味が尽きない昆虫です。世界中に3万種もいて、日本だけでも800種ものカミキリムシがいると言われています。この記事では、カミキリムシの生態の一部を紹介しています。
1.カミキリムシは害虫だけど人気者
カミキリムシは、世界中で約3万種が知られていて、国内には800種を超える種が記録されています。
カミキリムシは色や形、模様などが美しいため、樹木を枯れさせてしまう害虫と言われながらも、愛好家が多い事でも知られています。
次に、一般的なカミキリムシの生態や食べ物などについて紹介します。
2.カミキリムシの生態
カミキリムシは、完全変態昆虫です。尚、次のような事情から、カミキリムシの生態を一般化するのは困難でした。
2-1.カミキリムシの一生
カミキリムシは次のように成長します。
卵(1~2週間でふ化)→幼虫(数ヶ月から数年:種によって期間は異なる)→さなぎ(2~4週間)→を経て成虫になります。
それぞれの成長期間は、種による違いだけではなく、カミキリムシがいる環境(温度や湿度等)によっても大きく影響を受けて一概には言えません。そのため、寿命も1年のものが、2年になることもあります。
特に、カミキリムシが寄生している環境が乾いていると、成長は遅延します。
日当たりが良いと短縮されることもあります。また、サナギの時に越冬や休眠をすると、羽化は翌年に延びるようです。
そこで、北海道から九州までの平地から、亜高山帯の針葉樹林に広く分布するアカハナカミキリ等を例にして、カミキリムシの生態を紹介することにします。
2-2.一般的なカミキリの産卵からサナギまでの生態
■産卵
カミキリムシは針葉樹の枯れた木(立ち枯れのものや倒木、切株等)の亀裂や、他の昆虫等が空けた脱出孔等に産卵します。
■幼虫
幼虫は、朽木(くちき)が進行腐食して褐色に色づいた状態を好んで食べます。
■さなぎ
幼虫は、腐った木の中で孵化後(ふかご)の2年後の初夏になると、朽木(くちき)内にサナギの部屋(楕円形)を作って、サナギになる「蛹化(ようか)」から、羽化へと進行します。サナギの期間は凡そ2週間です。
2-3.カミキリムシの成虫の食べ物
サナギから、ふ化した成虫が食べることを後食(こうしょく・ごしょく)と呼びます。
カミキリムシは、さなぎからふ化して成虫になると種によって食べるものは様々です。
■花・花粉・蜜・花弁などを食べる
ハナカミキリ亜科、カミキリ亜科の多くは、植物の花、花粉、蜜、花弁などを後食します。
■樹液や樹皮などを食べる
カミキリ亜科のミヤマカミキリはクヌギ等の樹液を吸います。
フトカミキリ亜科の多くは、生木だけでなく、腐朽木の樹皮を後食します。
■木の葉などを食べる
綺麗で魅力的な姿をしている、フトカミキリ亜科のトホシカミキリ族や、キクスイカミキリ族、フサヒゲルリカミキリ族、ヒゲナガカミキリ族、さらにシロカミキリ族などは、生木や草本の葉や茎などや、枯れ葉等を後食します。(クワカミキリは、桑の木の若い枝を後食します)
以上は、一般的な食べ物ですが、菌類や、木のヤニ(樹脂)を後食するカミキリもいます。
■菌類などを食べる
フトカミキリ亜科のセミスジコブヒゲカミキリは、エゴノキという広葉樹に生えるエゴノキタケなどを後食します。
ケハラゴマフカミキリは、クスノアザコブタケという菌類を後食。
■木のヤニ(樹脂)などを食べる
サビカミキリやオオマルクビヒラタカミキリは、主にマツ科(針葉樹)のヤニを後食します。
カミキリムシは、様々な種類がいて、大きさだけでなく、背中の模様や長いひげにある模様も多様です。
3.まとめ
日本のカミキリムシは、800種類もいて、世界中では3万種もいます。
カミキリムシは害をもたらすため、多くの人が被害を受けていますが、カミキリムシの顎の力は強くて、子供達の憧れの昆虫です。
興味が尽きない昆虫です。