ハクチョウが日本に飛来する南限地と、古い呼び名について紹介しています。南限地は、突発的な事象は避けて、定期的に飛来する地域で考えています。また、ハクチョウの古い呼び名には、どこかで見たような親しみが感じられます。
1.日本に飛来するハクチョウの種類と南限地
日本に定期的に飛来するハクチョウは、全7種の内「オオハクチョウ」と「コハクチョウ」の2種です。ただし、「コブハクチョウ」と「ナキハクチョウ」という種も迷って飛来したことはあります。
1-1.定期渡来地の南限
日本へのハクチョウが定期的に飛来するのは、島根県の中海が南限です。それより南の地への飛来もありますが、迷鳥的な扱いです。
尚、鹿児島県出水市荒崎に1937年まで「オオハクチョウ」が毎年(1〜5羽)来ていましたが、その後は地球環境の変化などから、ほとんど来なくなりました。そのため、ここは除きました。
2.ハクチョウの古い呼び名
ハクチョウ類は、奈良時代の頃には「くぐひ(鵠」」や「しらとり(白鳥)」と呼ばれ、平安時代には中国名の「鵠(こく)」や、それを読みやすくするために語尾などが他の音に変わった「音便(おんびん)」読みで「こう」とも呼ばれていました。
江戸時代になると、主に「くぐひ」と「はくてう」の呼び名が使われて、「はくてう(白鳥)」とも呼ばれていました。
明治時代には鳥類目録が作られて、「オオハクチョウ」と「ハクチョウ」と記載されています。尚、「ハクチョウ」という呼び名は、1974年から「コハクチョウ」に変更されています。
3.「コハクチョウ」と「オオハクチョウ」の大きさと見分け方
「コハクチョウ(小鵠)」は、小という字があるので誤解されますが、全長は1.2mもあります。「オオハクチョウ(大鵠)」は、1.4m程で、並んでいる時以外は、殆ど区別がつきません。
「コハクチョウ」と「オオハクチョウ」の区別は、嘴(くちばし)の黄色部分の大きさと形で分かります。
嘴の黄色の部分が半分未満で丸みがあるのが「コハクチョウ」、黄色の部分が嘴の半分以上で、先がとがっているのが「オオハクチョウ(大鵠)」です。
「コハクチョウ」は「オオハクチョウ」よりも南方まで飛来します。島根県の中海には「コハクチョウ」が多数越冬していて、九州に渡るのも「コハクチョウ」の方が多いと言われています。
余談ですがハクチョウの最大種は、アメリカ合衆国の北西部やカナダ西部に生息している「ナキハクチョウ」です。
全長は1.5-1.8m、翼を広げた長さは2.3-2.6もある巨大な鳥です。
4.まとめ
日本に定期的に飛来するハクチョウは、「コハクチョウ」と「オオハクチョウ」の2種で、南限地は、島根県の中海です。
「コハクチョウ」と「オオハクチョウ」を区別したのは、明治時代に鳥類目録が作られてからです。
ハクチョウの古い呼び名は、次のようなものです。
- 奈良時代:「くぐひ(鵠」」や「しらとり(白鳥)」
- 平安時代:中国名の「鵠(こく)」や、「こう」
- 江戸時代:「くぐひ」と「はくてう」、「はくてう(白鳥)」
鳥類目録が作成されるまでは、ハクチョウの細かい区別まで分からなかったようですが、呼び名を見ると、風情ととに、どこかで見たような親しみを覚えます。