托卵する鳥の側にも事情があった|托卵してもらうための工夫

枝に止まっているカッコウ

枝に止まっているカッコウ

自分で子育てしないで、他の鳥の巣に卵を産んで育ててもらう「托卵(たくらん)」をする鳥にも事情がありました。この記事では、何故、托卵しなければならないのかの理由や、托卵と悟られない工夫などについて分かりやすく紹介しています。

▼目次

  1. 1.托卵する鳥の事情とは?
  2. 2.托卵する鳥たちの工夫
  3.    2-1.地域によって色や大きさの違う卵を産むツツドリ
  4. 3.日本のカッコウ類と子育てをさせられる鳥
  5.  3-1.托卵する鳥と子育てをする鳥の組み合せ
  6. 4.まとめ

1.托卵する鳥の事情とは?

カッコウなどは、卵を他の鳥の巣に産んで子育てをすることで知られています。彼らが、托卵(たくらん)しなければならない理由は、体温保持能力が低いために、安定して卵を孵化(ふか)させることができないためです。

そんな事情もありますが、カッコウなどに子育てをさせられる鳥にとっては、迷惑でしょう。そのため、托卵する鳥は、うまく托卵してもらうために工夫をしています。

 

2.托卵する鳥たちの工夫

ホトトギス

ホトトギス

托卵する鳥は、子育てをしてもらう親鳥(宿主)の留守を狙って、宿主の卵がある巣に自分の卵を産みます。

そのため、托卵する鳥は、宿主に気づかれないように気をくばります。

  1. 巣の中の卵の数を合わせるために、自分が生んだ卵の分だけ、巣にあった卵を捨ててしまいます。
  2. 卵の色も、宿主の卵と同じ色にして産みます。(ウグイスの卵は、綺麗なチョコレート色ですが、ウグイスの巣に托卵するホトトギスの卵も同じような色をしています。ジュウイチの卵も宿主のコルリの卵に合わせて青色です。)

このように托卵する鳥たちは、できるだけ宿主に気づかれないように卵の数や、色などに気を付けています。

しかし、卵の色にこだわらない宿主に対しては、色が全く違うのに平気で托卵してしまいます。例えば、伊豆諸島のホトトギスは、白い卵のイイジマムシクイの巣に、チョコレート色をした卵を産みます。それでも、イイジマムシクイは色の違う卵を一生懸命育てます。

これとは逆に、ウグイスは色に敏感のため、チョコレート色の卵以外は、受け付けないことが多いようです。

 

2-1.地域によって色や大きさの違う卵を産むツツドリ

本州のツツドリの卵と、北海道のツツドリの卵は、大きさも色も異なっています。本州のツツドリは、卵の色に鈍感なムシクイ類の鳥に托卵するため、白地に褐色斑の卵を産みます。ムシクイの卵は、薄茶の下地に褐色斑のため、両者を比べるとツツドリの卵はとても目立ちます。

これに対して、北海道のツツドリは卵の色に敏感なウグイスの巣に托卵するため、自分の卵もウグイスと同じチョコレート色にして、大きめの卵を産むウグイスに合せてサイズも変えています。

このようなことから、托卵する鳥は、卵を産むだけではなくて、宿主の特徴を観察して自分の卵が育ててもらえるように気を配っていることが判ります。

また、地域によって卵の色が違うのは簡単にできることではありません。恐らく、長い世代をかけて卵の色を托卵する宿主の卵に合わせていったのでしょう。

そう考えると、色に鈍感なムシクイ類に托卵するツツドリも、月日をかけて、少しずつムシクイ類の卵に近づけていくのかもしれません。

 

3.日本のカッコウ類と子育てをさせられる鳥

日本にいるカッコウの仲間は、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチの4種類で、いずれも他の種類の鳥の巣に卵を産んで、子育てをお任せしてしまう鳥たちです。

そして、多くの場合は、托卵する鳥によって、子育てをお任せする鳥は決まっています。

 

3-1.托卵する鳥と子育てをする鳥の組み合せ

托卵する鳥と、托卵させられる鳥の種類には大まかな組合せがあります。

  1. カッコウは、モズ・オオヨシキリ・ホオジロなどに托卵
  2. ツツドリは、センダイムシクイなどのムシクイ類に托卵
  3. ホトトギスは、ウグイスなどに托卵
  4. ジュウイチは、コルリ・オオルリなどに托卵

このように、托卵する鳥と托卵をさせられる鳥は、概ね決まっています。

4.まとめ

托卵する鳥は、体温保持能力が低いという特殊な事情から、托卵しなければなりませんが、自分の卵をしっかり育ててもらうために、宿主の鳥を観察して、産む卵の色や大きさまで変える努力をしていました。

北海道のツツドリが、チョコレート色の卵を産めるようになったのは突然ではないでしょう。ウグイスも托卵が始まった頃は、卵の色に敏感ではなかったのかもしれません。

また、一部の研究では、宿主は托卵をする鳥に脅(おど)されて、仕方なく別の種の卵を育てているとか、托卵されるのは利害関係で対応しているなどの調査データもあるようです。

いずれにしても托卵には、まだ判っていないことが多いようです。▲目次に戻る