アリ

分業化が進んだハキリアリは、仕事毎に体の大きさも決まっていた

作業の分担

ハキリアリ属の分業制度は特別です。彼らは、個体の大きさや、経験の違いなどから適した作業担当を分けしています。この記事では、ハキリアリの作業分けの内容や、どのようにして、体の大きさまで変える働きアリが出現するのか等を紹介しています。

1.年数とともに巨大化するハキリアリのコロニー

ハキリアリの集団居留地とも言える巣ができると、少しずつアリの数は増えていって、2年も経過すると、その後は急速に増加します。

やがて、翅(はね)の生えた雄と雌が生まれる頃には、増加のペースは落ち着きますが、5年も経過すると、アリの集団居留地(コロニー)は途方もなく巨大化します。

 

2.ハキリアリの分業化による体の大きさの違い

ハキリアリ属の分業は、様々な研究でその内容が分かってきました。不思議な事に、ハキリアリは、体の大きさによって仕事の内容が分けられています。

次に、ハキリアリ属の「トゲハハキリアリ」と「チャイロハキリアリ」の内容を紹介します。

 

2-1.コロニーサイズによるアリの大きさの違い

ハキリアリの新しい巣で生活する働きアリの体長は、ほとんど同じようなサイズで、頭の幅は0.8mmから1.6mm程です。

ところが、年数を経た巨大な巣(コロニー)に住むハキリアリは、頭の幅で8倍ものサイズの差があります。

 

2-1-1.体の大きさが違う理由

ハキリアリは、仕事を細分化して体のサイズも、作業に適したサイズにしています。

  1. 菌類の世話をするはたらきアリの頭の幅は、0.8〜1mm程度が適している。
  2. 平均的な葉を切り取るには頭の幅が1.6mm以上のサイズが必要。
  3. 子育てには、頭の幅が0.8〜1.6mm程度が良い。

巣が小さい時期の女王アリは、働きアリの数を増やすことに専念しますが、数が増えて分業化が進むと、仕事に適したサイズの個体を産むようになります。ハキリアリ社会では、こうして、アリのサイズが業務ごとに違ったものになっていきます。

小さい個体の頭の幅は、0.7mm程のものから大きな個体は、5mmを越えるものまで産まれてきます。これは複雑な階級制度を構成しますが、しっかりと分業をするためです。

 

3.ハキリアリの具体的な分業体制

作業の分担作業の分担

次に、仕事の区分毎の働きアリの体の大きさについて紹介します。

 

3-1.菌類の世話をするハキリアリ

働きアリが菌類の世話をする時は、流れ作業式に仕事を分担しています。

  1. 葉を持ち帰るアリ(頭の幅は2mm-2.2mm)が巣に戻ると、床に葉を落とします。
  2. すると、小型の働きアリが出て来て、葉を拾い上げて1mm-2mmぐらいに細かく嚙み切ります。
  3. さらに小型の働きアリが現れて、葉を粒状に押し固めたり、そこに糞を落としたりして完全な粒にします。この粒は、働きアリによって菌園の土台等につけられます。
  4. 最後に、最も小型の働きアリが出てきて菌園を見回ります。最小の働きアリは、丁寧に、触覚で撫でるようにして菌の様子を調べ、菌の表面をなめてきれいにします。また、他の菌などが生えてくると取り除きます。

 

3-2.経験の違いによるハキリアリの作業分担

尚、作業の分担は、体長の大きさによるものだけではなく、経験の違いによっても分けられています。

若い働きアリは巣の中で仕事をすることが多く、年長のアリは巣の外で作業をすることが多いと言われています。

特に最も小型のグループの年長のアリは、大型のアリが葉を抱えて運んでいる葉の上に乗って寄生バエから大型のアリを守ります。寄生バエがいない時には、葉に付着したカビ等を取り除く作業も担当しています。

 

3-3.最大サイズのアリの仕事

これらの働きアリとは別に、特別大型の「兵隊アリ」という階級もあります。兵隊アリは、脊椎動物のような大型の敵を撃退する時に働きます。

 

4.まとめ

アリは、しっかり分業化が進んだ社会生活を営む生き物として有名です。

特に、ハキリアリ属は、体の大きさまで変えて仕事に適した個体を作っていました。

作業分担ごとに適した体の大きさの個体が出現する理由は、分業化の進んだコロニーの女王が、産み分けをしているためでした。

ABOUT ME
nature observation
Nature Observationのサイトは2名で運営しています。一人目は写真撮影と白鳥が好きで日本全国を車で飛び回っています。最近は、無料ブログを作って楽しんでいるようです。二人目は、昆虫好きですが、写真は素人、白鳥や花の本を読んで知識は増えてきました。最近は、主にデジタル関連の、判っていそうで判りにくい内容をズバッと紹介するサイトも手掛けています。二人とも趣味の世界を謳歌している中高年のおじさんです。