人は、ウグイスの「さえずり」を美しいと思います。鳥の「さえずり」は人の為に行っているわけではないのに、何故、人は鳥の「さえずり」を堪能できるのでしょうか? 鳴き方の種類や、鳥の周波数帯域と人の可聴域帯の関係から解き明かして紹介しています。
鳥の鳴き方の種類
冬の終わりから春先の里山では、ウグイスの鳴き方を練習している声が聞こえてきます。最初の頃は、「ケキョケキョ」というような声ですが、練習を積むと、美しい声で「ホー、ホケキョ」と鳴くようになります。
「ホー、ホケキョ」という鳴き方は「さえずり」というもので、人の耳も楽しませてくれます。
専門書によると、鳥の鳴き方には「さえずり」と「地鳴き」の2つの種類があります。
「さえずり」と「地鳴き」
「さえずり」と「地鳴き」には次のような違いがあります。
さえずり
「さえずり」は、鳥が生まれてから練習で獲得したものです。オス鳥が奥さんを得る時や、縄張りをキープするために行います。
「さえずり」は、一定の期間にベテランの「さえずり」を聞いて覚えます。つまり、練習で修得します。
「さえずり」は、鳥の意志で発声するものです。複数の音節で作られるため、人には美しい音楽のように聴こえます。
地鳴き
「地鳴き」は、仲間に危険を知らせる時や、ヒナが親鳥にエサをねだる時に鳴く声です。遺伝子で脳に刻まれていて、生まれた時から備わっています。
「地鳴き」は、生命に関わるような時に無意識に発せられるものです。同種の鳥は生まれた時から意味を理解しています。多くの場合、短音節のため美しい響きではありません。
さえずりが人に心地よい理由
耳で聞き取れる周波数領域は種類によって違いますが、人と鳥の可聴域帯は、ほぼ重なっていました。
「さえずり」は、メスを引き寄せる時や、縄張りを主張する時に周囲に響かせるもので、
自分の能力を他の鳥に見せつけるために修得したものです。
このような2つの理由で、鳥の「さえずり」は、人にも心地良いのです。
人と鳥の可聴域帯
人間の場合は、20〜20,000ヘルツの周波数の範囲を聞き取れます。
一般的な鳥の可聴域帯は、100〜10,000ヘルツでした。
(ただし、ハトやニワトリの耳は、1〜20ヘルツの領域の音も聞こえるようです)
一般的な鳥の可聴域帯が、人間よりも狭い周波数の範囲しか聞き取れないというのは驚きです。鳥の発声器官は構造的に低音域を出せないためなのでしょう。
なお、ウグイスの「ホー、ホケキョ」の「ホー」やフクロウの「ホー」の音域は、およそ1,000ヘルツで、美しい声で「さえずり」をする音域は、2,000〜6,000ヘルツぐらいです。
人が聞き取りやすい音域は、1,000〜5,000ヘルツのため、鳥と人は、ほぼ同じ周波数帯でした。
まとめ
ウグイスは、寒くなって繁殖期が過ぎると、喉の筋肉が上手く働かなくなってしまうため、「さえずり」が出来なくなります。
冬には、生きて行くのに必要な「地鳴き」という「チャ、チャ、チャ」のような声だけしか出すことができませんが、冬が終わる頃には喉の筋肉が少しずつ働くようになります。そのため、春先になると「さえずり」をするようになるのでしょう。
「さえずり」は、美しい声として聴くことができます。理由は、人が聞き取りやすい音域と鳥の「さえずり」が、ほぼ同じ周波数帯だったからです。
鳥と、人の使っている周波数帯は、ほぼ同じでした。鳥と人とは脳の構造も違いますが、感情もあります。
鳥と人は、感情というレベルで、コミュニケーション出来るかもしれません。
鳥の気持ちが判るようになったら人の考え方や生き方も変わってくるかもしれませんね。