クレソンのイメージは、清流に生えているスーパー食材として、栄養価豊富な健康野菜という印象でしたが、違う側面も持っていました。クレソンは、強い日射しと水温の高温化さえ避ければ、泥水でも群落を作って、水質浄化作用に貢献する水生植物だったのです。
クレソンのイメージ
クレソンは、春から初夏にかけて、清らかなせせらぎの中に生えるイメージがある植物です。オランダガラシとも呼ばれる名称や、ピリッとする風味とシャキシャキの食感は、独特の味わいを感じさせてくれます。
少し前までは、レストランなどで、ステーキの付け合わせとして供される程度の野菜でしたが、健康に良さそうな、βカロテン・カリウム・カルシウム・鉄分・ビタミンCなどが含まれているとPRされてからは、スーパー食材とも言われるようになりました。
近年では、スーパーマーケットなどでも、野菜コーナーにサラダや炒め物用の食材として並んでいます。
又、クレソンのイメージは、清流に生えている栄養価豊富な健康野菜でしたが、調べてみると違った側面も持っている野菜でした。
クレソンの概要
クレソンは、ヨーロッパ原産のアブラナ科の多年草ですが、移入などによって、ほぼ世界中に生息しています。日本には、明治時代の初期に導入された後、外国人宣教師によって日本中に広がったとされています。
寒さに強くて、水辺を好むため日本中で爆発的に繁殖しますが、希少な在来種の生育環境を奪ってしまうことや、水路をふさいでしまうことなどのため、要注意外来生物に指定されています。
クレソンには、害虫などからの食害を防ぐために、カラシ油配糖体が豊富に含まれています。カラシ油配糖体は、健康増進成分とも言われていて、人の体には害はなさそうですが、本来、クレソンの葉などを虫などから食べられないようにする、天然殺虫剤として働きます。大量に食べるは控えた方が良さそうです。
ただし、どんな植物も身を守るための毒素を体に蓄えています。日本のアブラナ科の植物(ダイコン・キャベツ・ワサビ)も防衛物質を持っています。
食の専門家から、一つの食材ばかりを食べるのではなく、多くの種類を食べるように勧められるのも、このような理由もあるのでしょう。
強いクレソン
クレソンは、汚れた水では育たないと思っていましたが、川辺を散歩すると、汚い水辺でも、小さくて白い花をつけた大群落を見かけます。
クレソンは、強い日射しと水温の高温化がなければ、育ってくれる強い植物のようです。
クレソンのすごい力
クレソンは、養分摂取のため、汚れた水に含まれる「窒素やリン」などの有機物を根の周辺に集めます。クレソンの根の周辺には、小さな虫や微生物が生息していて、根が集めた有機物を分解(無機化)してくれます。
クレソンの根は、微生物が無機化した物質を吸収するので、水質は浄化されます。
これが、クレソンなど水生植物の水質浄化作用です。
クレソンは、スーパー食材ということだけではなく、汚れた水をきれいにする水質浄化作用を持っていたのです。
水質浄化に適している理由
クレソンが水質浄化に適している理由を次に示します。
- クレソンの根の周辺に生息する微生物が有機物を分解。
- クレソンは、無機化した物資を吸収するため、安心・安全。
- クレソンは、ほぼ日本中の水辺に生息できる。
- 特別な機材を必要としないため安価に対応可能。
このような理由からクレソンを活用した水質浄化手法は注目されています。現在、水質保全対策のため、効率のよい条件を見つけるクレソンの試験栽培(実験)は、各地でおこなわれています。
まとめ
クレソンは、オランダガラシとも呼ばれていて、ピリッとする風味とシャキシャキの食感は、独特の味わいを感じさせてくれます。
健康に良い成分が含まれていることから、スーパー食材とも言われるようになったクレソンのイメージは、清流に生えている栄養価豊富な健康野菜ですが、調べてみると違った側面も持っている野菜でした。
クレソンは、強い日射しと水温の高温化に気を付ければ、泥水でも育ってくれる強い植物で、水質浄化に適していました。
クレソンは、美味しい食材だけという側面だけではなく、自然環境を回復する有力な水生植物として、増々注目されていくことでしょう。