チバニアンと呼ばれる地層は、77万年も前のものです。これほど古い地層なのに、どのようにして地球の磁気が反転したことが分かるのでしょう。この記事では、チバニアンという地層がどのようにして出来たのか? 誰にでも分かるように内容を紹介しています。
チバニアンは、なぜ地磁気反転していることが判ったの?
チバニアンは、千葉県市原市の地層です。養老川沿いの崖にある地層で、約77万年前に噴火した御嶽山の火山灰が堆積したものです。
チバニアンは、崖にある地層のため、むき出し状態です。そのため、目で見ることはできますが、なぜ地球の地磁気が反転したとわかるのでしょうか?
チバニアンは、なぜ目に見える地層なの?
地磁気が反転した地層を見つけることは大変ですが、チバニアンは、海底にあった地層が隆起して、川で浸食されたために、目に見える地層になりました。
チバニアンは、なぜ77万年も前の磁界の向きを確認できるの?
チバニアンの地層は、御嶽山の火山灰が堆積したもので、富士山の樹海の地層と同様に長期間安定して磁化していて、この層や上下の層の磁気測定をすることで、磁力の向きを特定できます。
これが、77万年も前の磁界の向きを確認できた理由です。
《溶岩の特性》
富士山の樹海は、地磁気によって磁化されて磁石になった溶岩です。この溶岩は、磁界をおびているため、方位を観測する磁石が狂ってしまうことで有名です。
これは、富士山が噴火した時の溶岩が冷えて固まる時に、地球の磁気に磁化されたものです。
こうして出来た磁石(磁界を帯びた溶岩)は、長期間安定しているため、富士山が噴火した当時の地磁気の向きを知ることも出来ます。
チバニアンは幸運が重なった地層
チバニアンは、磁気を帯びた地層が長期間磁力を保持したため、77万年も経た現在になって、地球の磁界の向きが変化したポイントと分かりました。もしも、チバニアンが海の底だったら、地層の状態を測ることなどできなかったでしょう。
チバニアンは、本来海底でしたが、房総半島が隆起したために地上に出てきました。その後は養老川の水で浸食されたため、現在のような崖になったのです。
つまり、いくつもの幸運が重なったために人が目にして調査することが出来たのです。
そんな風に考えると、チバニアンは、とても稀な地層です。地球の時代の目印になる素晴らしい地層ですね。
まとめ
チバニアンがある場所は、養老川沿いの崖にある地層で、約77万年前に噴火した御嶽山の火山灰が堆積したものです。
堆積層ですから、上の層は現在に近づき、下の地層は、より古い時代の地層です。
この地層は、磁界を帯びた溶岩だったため、長期間、地磁気の向きを保持できたのです。
地層の境界付近に残っている火山灰中の鉱物を基準にして年代測定をして、約77万年前であることを特定しています。(チバニアンでは、トータル57mもの区間で、地磁気が反転したことが確認されています。)
出来た当時の地層は、海底でしたが、房総半島が隆起したために地上になり、その後は養老川の水で浸食されたため、現在のような崖になったものです。
チバニアンは、このような多くの幸運が重なったため、人の目に触れる場所で保存され、地磁気反転という、素晴らしい地球の歴史の変化点を刻むことができたのです。