統制がとれたアリは、怖れられていますが、アリの巣内に棲んで、アリを食べる恐ろしい昆虫もいます。彼らは好犠牲昆虫と呼ばれていて、多くの種類がいます。好犠牲昆虫の種と、食生活の一部を紹介しています。日常とは違う、別世界を知ることができます。
アリの巣に棲んでアリを食べる怖い昆虫
アリに成りすまして、アリから餌をもらうなど、アリの社会に依存して生活するような昆虫を好蟻性(こうぎせい)昆虫と呼びます。
好蟻性昆虫と言っても、性質はさまざまで、アリからエサをもらって生活するようなおとなしいものだけはありません。
好蟻性昆虫の中には、アリの巣に棲みついて、こっそりとアリを食べている恐ろしい昆虫もいます。
次に、アリにとっては都合の悪い、好犠牲昆虫の種と、食生活の一部を紹介します。
アリスアブの幼虫
ハナアブ科のアリスアブの幼虫は、1㎝程のドーム状をしたナメクジのような体形をしていて、アリのコロニー内の、幼虫室の壁などに貼りついています。
アリスアブの幼虫は、アリの幼虫を食べて成長しますが、動きがゆっくりしているため、壁と同化しています。
そのため、アリは、幼虫を食べられていることに全く気が付きません。想像すると、かなり不気味です。
ゴマシジミチョウの幼虫
ゴマシジミチョウの幼虫(イモムシ)は、クシケアリが好む化学物質を出して、クシケアリに気に入られます。
ゴマシジミチョウの幼虫を好きになったクシケアリは、幼虫がある程度成長すると、クシケアリの幼虫を巣に持ち帰ります。
こうして、アリの巣に侵入したゴマシジミチョウの幼虫は、アリの幼虫を食べて成長します。それだけではなくて、女王アリが出す音を真似ることで、働きアリから餌をもらっていました。
ゴマシジミチョウの幼虫は、アリよりも随分大きいため、食欲は相当あります。アリの幼虫ばかりを食べていては、アリに気づかれてしまいます。
そのため、女王アリが出す音を真似て、働きアリから餌をもらうこともしていたのです。
アリは音でも会話できるの?
アリが仲間との会話(交信)をする方法は、主にフェロモン(化学物質)を使いますが、音を出して会話(交信)をすることもしていました。
アリは音でも会話(交信)することが確認されています。
ゴマシジミチョウの幼虫は、このようにアリが音で会話することも利用していたのです。
アリノスシジミチョウの幼虫
アリノスシジミチョウの幼虫は、とても凶暴なツムギアリの巣に棲んで、ツムギアリの幼虫を食べて生活しています。
アリノスシジミチョウの幼虫が、凶暴なアリの巣に棲めるのは、亀の甲羅のような形状をしていて、硬くてツルツルしているためアリが攻撃できないからです。
クサアリハネカムシ
ハネカムシの仲間のクサアリハネカムシは、クサアリというアリの周辺で生活していて、普段は死んだアリを食べていますが、空腹になるとアリを襲って食べてしまいます。
クサアリハネカムシがクサアリを襲う時には、クサアリの頭の付け根に噛みついて血管や神経を一撃で切って仕留めます。
クサアリハネカムシはクサアリと同じ大きさのため、反撃を避けるためには、このような一撃必殺で襲うのがベストなのでしょう。
まとめ
アリの社会は統制がとれていて、他の昆虫をエサにするため、他の生き物たちからは相当怖れられています。
そんな、アリの巣の中や近くに棲んで、アリを食べてしまうことで生活している昆虫がいることには驚かされました。
昆虫たちの世界は不思議で興味がつきませんね!