夏の夜、火に飛び込む昆虫や、街頭に向かってラセン状に飛んで行く昆虫を見たことのある人は多いでしょう。この記事では、夜行性の昆虫が、何でそのような行動をするのかについて調べた結果を紹介しています。きっと、昔からの疑問が解けてスッキリします。
夏の昆虫は火に飛び込むの?
最近は、夜に外出する機会が少なくなったため、あまり見たことはありませんが、古い記憶では、林間学校の時などに、街灯や火に向かって、ぶつかるように飛び込んで行く昆虫をみたことがあります。
最近、知ったことですが、夜行性の昆虫はラセン状に飛んで街灯にぶつかるようです。夜行性の昆虫は、何故そんな風に火に飛び込んでしまうのかを調べてみました。
夜行性の昆虫が頼る月の光
鳥のナビゲーションシステムには、さまざまなものがあると言われていて、その中に「太陽光」はありますが、「月の光」はありません。
これは、長距離を飛ぶ鳥にとっては、月の変化(満ち欠けや、月の入りや出の時刻など)が激しすぎるためと言われています。
これに対して、短い距離を飛ぶ夜行性の昆虫は、月の明かりを目印にしても、さほど問題にはなりません。
例えば、昆虫が真っすぐ飛行したい時に、自分と月との角度を30度の位置に維持して飛ぶという風に決めて飛んでも、昆虫は直進して飛行します。
なぜ直進できるの?
昆虫が直進できるのは、飛行する距離に比べて、月までの距離は比較にならない程、遠いからです。
昆虫が飛んでいる近くの景色は、昆虫が飛行して移動することで、どんどん変わりますが、昆虫が見ている月の位置は、殆ど変わることはありません。
そのため、月を見る角度を決めて飛ぶことで、昆虫は一定方向に飛行できます。
この説によると、夜行性の昆虫は月の光を目印にして飛行していることになりますが、人が街灯などを作ったため、昆虫は蛍光灯の明かりに惑わされてしまうようです。
街灯に向かってラセン状に飛ぶ理由は?
月を目印にしていた夜行性の昆虫は、街灯があれば、街灯の灯りを目印にして飛行するでしょう。
月をナビゲーションにする時には、例えば、自分と月との角度を30度と決めた場合は、月明かりをその角度に保って飛行します。
これと同じように街灯の明かりを「自分と街灯の角度を30度の位置」に保って飛行すると、街灯と昆虫との距離は、それ程離れていないため、直ぐに、「自分と街灯の角度を30度の位置」から逸脱してしまいます。
昆虫が、「自分と街灯の角度を30度の位置」に維持するには、昆虫はラセン状に飛行しなければなりません。そして、最後には街灯にぶつかります。
これが、昆虫が街頭に向かってラセン状に飛んで行く理由です。
まとめ
以上のように、夜行性の昆虫は月の明かりを目印にして暗い夜を飛んでいたのでしょう。短い時間や距離を飛ぶ昆虫にとっては、月明かりは丁度よかったからです。
確かに、電車に乗っている時に月をみると、相当早い速度で動く電車でも、走っても、走っても同じところに月は見えます。
もちろん、月も動いているため「短時間で」という条件は付きますが…。
月を目印にして飛行する習性を持っている夜行性の昆虫が、外灯の明かりを目印にしてしまった時に不都合が生じてしまう理由も理解できたことでしょう。
人から見ると、火に飛び込む昆虫は、何てバカなんだろうと感じてしまいますが、どうやら昆虫の行動を迷わせていたのは人間たちだったようです。