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アカトンボの色はどうして赤なのだろう

アカトンボ

アカトンボは、秋になると赤色に染まるトンボの総称ですが、何故、赤い体をしているのか判っていませんでした。新しい発見では、不明点もありますが、アカトンボの色は、従来の生きものの体色を決めていた要因とは異なっていることが分かっています。

アカトンボとはどんなトンボなの?

夏の終わりから秋になると、アカトンボの群が飛び回っていたことを懐かしく思い出す人は多いでしょう。

ところが、トンボの図鑑などでは、アカトンボと呼ばれる種は存在しないと記載されています。

《アカトンボと呼ばれるトンボ》
アカトンボは、トンボ科アカトンボ亜科アカネ属に属する赤い色をしたアカネの仲間の総称でした。

一般的にアカトンボとは、「アキアカネ」や「ナツアカネ」のことですが、赤い色をしていれば、アカネ以外のトンボでも全てアカトンボと呼ばれるそうです。

つまり、アカトンボというのは色が赤いトンボの俗称だったのです。

面白いことに、アカネ属でも青くなるナニワトンボや、黒くなるムツアカネという種もいるし、アカネ族ではないショウジョウトンボが、赤く変色することも分かっています。

動物たちの体色を決めていたものとは?

動物が体色を変える方法は、次のような3つのパターンで行うことが判っていました。

  • さまざまな酵素を駆使して、新しい色を体内に作る
  • 餌の色素を体内に取り込んで、色を作る(フラミンゴなど)
  • 体内にあった色素を体の表面に移動することで色を変える(カエルなど)

このような3つの方法で動物たちは、体の色を変色させていることが知られていました。ところが、アカトンボの色は、これらのどれにも該当しませんでした。

アカトンボが赤くなる新しい発見とは?

アカトンボが赤色に変色する方法は、もともと体内に持っていた赤い色素を、酸化型から還元型に変えることで行っていました。

これは、新しい発見です。

アキアカネの場合は、酸化型だった色素(オモクローム)を還元型色素に変化させることで赤色にしていました。

《酸化型と還元型》
一言でいうと、酸化とは電子を失うことで、還元とは電子を得ることです。

アキアカネのオモクロームという色素は、酸化型の時は黄色ですが、還元型になって電子を得ると、赤色に変わる色素です。

なぜ酸化型から還元型に変えたのか?

アカトンボの色の変化のメカニズムを解明した研究者は、アカトンボが電子を失う酸化型から電子を得る還元型に変えた理由を、次のように推測しています。

《研究者の推測内容》
アカトンボは、有害な太陽光線から身を守るために抗酸化状態になった。(まだ研究段階です)

まとめ

アカトンボと呼ばれるのは、トンボの種ではなくて、赤い色をしたトンボの俗称でした。

アキアカネは、代表的なアカトンボの種です。アキアカネの若い頃は黄色で、成熟するに従い赤色に変化します。

そして、黄色の体色が赤く変わるのは、電子を失う酸化型から電子を獲得する還元型によって色素が色を変えていることが確認されました。

アキアカネが赤色に変色するメカニズムを発見した研究者は、産業技術総合研究所の生物共生進化機構研究グループ主任研究員の二橋亮氏です。二橋氏は、新聞記事内で次のような興味深いコメントをしていました。

《二橋亮氏のコメント(言い回しは変えています)》
昆虫がやっているすごい事は色々あるけれども、まだ究明されていないことが多い。人間にとって害虫なら、駆除方法を究明するためにお金をかけて研究をするが、益虫の場合は、研究対象として費用が計上されない。(研究が進まない)

確かに、その通りでしょう。ただし、考え方を変えれば昆虫を趣味にしている方にとっては、ある意味で朗報です。

昆虫が趣味で、地道に観察するのが好きなら、研究者でなくても、新しい発見があるかもしれませんものね。

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Nature Observationのサイトは2名で運営しています。一人目は写真撮影と白鳥が好きで日本全国を車で飛び回っています。最近は、無料ブログを作って楽しんでいるようです。二人目は、昆虫好きですが、写真は素人、白鳥や花の本を読んで知識は増えてきました。最近は、主にデジタル関連の、判っていそうで判りにくい内容をズバッと紹介するサイトも手掛けています。二人とも趣味の世界を謳歌している中高年のおじさんです。
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