ハトは、最も身近にいる鳥です。この記事は、ハトのしぐさや行動の意味を紹介しています。ハトの行動には独特なものもありますが、不思議なしぐさや行動の多くは、他の鳥にもあります。ハトの独特な仕草の意味を知ることは、他の鳥への理解も深まるでしょう。
ハトは身近に観察できる鳥
ハトは、電車のホームや大きな公園などに行くと必ずいます。警戒心が低くて、集団で人にまとわりつくように寄ってくるため、うっとうしいと感じるくらいです。
日本で身近にいるハトは、都市部や農耕地などの平地の、どこにもいて群れで生活している「ドバト」と「キジバト」の2種類です。
「ドバト」は、もともとヨーロッパの「カワラバト」でした。
駅のホームや公園などにいるハトは、「カワラバト」です。趣味で飼われていた「カワラバト」が逃げ出して野生化したものと言われています。
ハトは、人慣れしていて、さまざまな仕草を見せてくれますが、ハト独特のしぐさや行動もあります。そんなハトのしぐさと意味について、次に紹介します。
ハトの変わった仕草や行動の意味
ハトは、次のようなちょっと変わったしぐさをします。
求愛行動
- 胸を膨らませてグルーグルーと鳴きながら別のハトにお辞儀のような仕草をします。
これは、ドバトがメスのハトに求愛をする時の習性です。相手の反応のことは考えずに押しの一手で迫っていきます。 - キジバトが、まるでタカが滑空をしているような飛び方をしている時は、メスへの求愛行動(飛行)と言われています。
- ハトがキスのようなしぐさをするのは、お互いに恋人として認め合ったハトの行動です。この時、オスのハトは、メスにピジョンミルクと呼ばれる栄養物質を与えています。ピジョンミルクはヒナに与えるものですが、愛情表現としても行います。
くつろぎの行動
- ハトが地面に翼を広げてうずくまっていたら、それはくつろいだ時間を過ごしている時です。一見、怪我をしているように見えるため、助けてあげようと近づくと、直ぐに逃げてしまった、ということを経験した人は多いでしょう。
- ハトは、水に浸かってじっとしていることや、雨の日に雨に打たれながら静かにしていることがあります。この仕草は、人の場合、「湯船に浸かっていること」や、「シャワーを浴びている状態」です。
これらの行動は、寄生虫や余分な脂粉を落としている行動で、他の鳥にも見られます。
鳥は、生きるためにしているのですが、常にピリピリしている生活の中で、リラックスしている限られた時間なのでしょう。
首を前後に振るしぐさ
ハトが歩く時に首を前後に振る行動は、研究者がさまざまな検証をしています。
- ハトの目は、顔の前ではなくて、側面にあるため、広い範囲を見ることができますが、対象物を立体視できません。そのため、そのままでは見ている物までの距離は判りません。
そこで、ハトは、頭を前と後ろに倒して、見ている物の位置をずらして見ています。こうすることで、人が両目で見ている時のように距離が分かるようになります。
上記は一つの説です。これ以外にも、「重心移動に連動させて、歩行を安定させている」、「聴覚を安定させている」などのさまざまな説があります。
しかし、目が横についている鳥でも、首を振らないで歩く鳥はいます。ハトのしぐさは、面白い研究対象として次々に新しい説がでてきます。
まとめ
ハトのしぐさや行動には、ちょっと変わったものがあって、独特かもしれませんが、不思議なしぐさの多くは、他の鳥にもあるものです。
ひょっとしたら、人慣れしているハトは、人の目に触れやすくて、目立つためという理由だけなのかもしれません。
おそらく、鳥類学者も、まだ納得する説にたどりついていないのでしょう。