アリ

ハキリアリは最新鋭の技術でキノコ菌の栽培をしていた

ハキリアリは、植物の葉を切り取って、巣に持ち帰ります。持ち帰った葉に菌を植え付けて栄養源の豊富な菌糸を育てることで幼虫や働きアリのエサにしています。これは、農業です。しかも、農業の手法は、人が行っている最新鋭の技術で対応していました。

ハキリアリが行っている菌の栽培方法

人が安定した食料を確保するには、農業は必要不可欠です。人が、農業を編み出して、生活に取り入れたのは約1万年前ですが、一部のアリ社会では8,000万年前から農業をしていました。

そんな長い歴史を持っている、アリが行っている農業手法を紹介します。

ハキリアリによる菌の育て方

ハキリアリは、体の大きさに応じて役割が分担されています。一番大きな働きアリ(兵隊アリ)と小さな働きアリでは、200倍も違います。大きさの違いは、幼虫時代に食べた栄養豊富な菌糸の量に比例するためです。

ハキリアリは、行列を作って植物の葉を切り出して、体の何倍も大きな葉を運びます。葉の運び役は、力のありそうな中間サイズのアリが担当しています。

葉を巣に持ち帰ると、アリ塚の内部にあるトンネルでつながった部屋(菌糸園)に運び込みます。運び込まれた葉は、小型の働きアリによって、細かく切り刻まれます。

次に、もっと小さい働きアリによって、さらに粒状にすると糞がつけられます。糞には菌糸が含まれているので、ここで菌糸が植え付けられたことになります。

次に、もっと小さな働きアリが登場して、ある程度育ってきた菌糸のかたまりを抜いて、新しい場所(畑)に植え替えます。

そして、最後に出てくる最も小さな働きアリは、菌園をパトロールして監視します。

菌園パトロールの理由

最も小さなハキリアリは、菌園をパトロールして監視していますが、アリの巣の中でそんなことをする必要があるのでしょうか?

菌園のパトロールは、大切な仕事でした。アリの巣は地中にあるので、雑菌だらけです。そのため、何もしないで菌を植えると、直ぐにカビや、バクテリアで菌園が壊滅してしまいます。

これを防ぐため、ハキリアリの胸部から微生物の成長を抑える抗生物質を分泌して対処していました。この抗生物質を作っているのは、ハキリアリと共生しているバクテリアで、ハキリアリの胸部に付着しています。

このように、対策をしていますが、菌園の中には空調設備などはないので、とても不安定です。

菌園パトロールは、カビが生える兆候や、腐ったものがないことを常に監視して、異常の時には直ぐに対処するためでした。

ハキリアリの最新鋭の農業技術とは?

人が近年開発した農業手法に、「遺伝子組み換え作物の栽培」があります。

遺伝子組み換え技術の中には、除草剤に強い作物を遺伝子組み換えで作り出して活用する手法があります。この手法は、作物が除草剤に強ければ、散布しても作物に影響しにくいことを利用したものです。

この方法は、ハキリアリが抗生物質を分泌して微生物の成長を阻害するやり方と同じです。抗生物質は、菌糸の成長には影響しないため、効率的に菌糸の栽培を行うことができます。

人が生み出した、遺伝子組み換え手法には不安感が付きまといます。ところが、ハキリアリは大昔から、人が考えた最新鋭の農業技術に匹敵する手法で菌糸を栽培していたのです。

まとめ

ハキリアリは、仕事をしやすくするために、体の大きさが200倍も違う個体を作って対応していました。

ハキリアリは、菌園の衛生環境のため、カビの繁殖や腐食を防ぐ対策をしていました。

カビの繁殖や腐食を防ぐ対策

ハキリアリは、共生するバクテリアに、菌園には無害な抗生物質を作ってもらっていました。

ハキリアリは、巣内環境を常に監視しながら胸に付けた抗生物質を散布していました。このような対応のおかげで、巣内環境は維持されていました。

これは、人が生み出した最新鋭の遺伝子組み換え農業技術に匹敵する手法です。

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