カラスウリのオレンジ色は、白黒の冬の景色に、とっても鮮やかです。ひっそりと空き地などで実をつけます。調べると、面白い。カラスウリは、冬の殺風景な景色にひときわ目立ちますが、人気はありません。そんなカラスウリについて紹介しています。
オレンジ色のカラスウリは目立つけど不人気
毎年冬になると、実家の裏の栗林には、栗の木にからんだツルからカラスウリの実が数個垂れ下がります。
雑草や栗の葉も落ちるため、オレンジ色のカラスウリはひと際目立ちます。但し、誰も触れようともしません。虫や、鳥にも人気が無いように見えます。
カラスウリとは
カラスウリは、ウリ科のつる性の多年草です。確かに昨年も同じ栗の木に、ツルがからみついていました。
カラスウリの原産地は中国と日本です。日本では北海道を除いた地域の林の中で、草や木にからみついて生長します。
カラスウリは雌雄異株(しゆういかぶ)です。雌雄異株とは、同じ木には、雄花 or 雌花のどちらかしか咲かない植物のことです。
昨年も今年も実を付けたので、近くに花粉を供給する雄株の花があるのでしょう。
カラスウリの生態
カラスウリは、4月〜6月ごろに、発芽してツルを伸ばします。花は、雌雄どちらも夏の暑い時期の夜に白い花を咲かせます。花びらは白色で、花びらの周囲から糸状の白いレースのようなものを出します。
この白い花は、夜間のみ咲くため、見たことのある人は少ないでしょう。
夜間に白い花を咲かせる理由は、夜行性のガ(大型のスズメガ)に受粉を頼っているからです。カラスウリの花筒は長いですが、スズメガの口吻も長いため、カラスウリの花の奥にある蜜を吸えるのでしょう。
スズメガのような長い口吻が無い他の虫は、蜜を吸えないため、花に寄り付きません。
カラスウリの授粉した雌株は卵型の果実をつけます。若い果実は縦線の入った緑色ですが、秋が深まる頃に、熟してオレンジ色になります。
カラスウリの子孫の増やし方
多年草のカラスウリは、ツルが枯れても根には栄養分(デンプンやタンパク質)を含んだ芋のような塊根があります。そのため、越冬した後に芽を出すこともできます。
カラスウリには、果実が成るので、種からも増えます。また、ツルの先端を土の中に伸ばして根を出して、栄養分を持った塊根を作ります。これが、翌年になって芽をだすことも出来ます。
でも、これ程多くの方法で子孫を残せるのなら、もっと増えても良いだろう。何故、増殖しないのでしょうか?。
やっぱり、カラスウリは不人気なのでしょう。名前の由来は、カラスも食べないために、カラスウリと名付けられたそうです。
但し、カラスウリの熟した実には、甘味も苦味もあるそうです。実が緑色の頃には、葉っぱや果肉も天ぷらなど、様々な料理で食べることも出来ると言われています。
ちょっと不思議です。
まとめ
カラスウリは、暑い夏の夜に白い花を咲かせて、授粉をしてくれるスズメガを誘います。カラスウリの花筒は長いため、スズメガの長い口吻でなければ授粉できません。
カラスウリの実が目立つようになるのは、緑色の実が熟してオレンジ色になる頃に、周囲が殺風景な冬景色になるからです。
おそらく、実を食べて運んでくれる鳥に、熟した実を知らせるために目立つのでしょう。
カラスは、生ごみを駐車場に置いただけで直ぐに反応します。そんなカラスも、カラスウリには無関心です。
でも、カラスウリは、何種類も子孫繁栄の手段を持っています。
それにも関わらず、毎年同じところにひっそりと芽を出します。
ひょっとすると、カラスウリは、いっきに子孫を繁栄させると、撲滅の道を歩むことを知っているのかもしれません。