セミの一生ってどんなものなの?

セミ セミ
セミ

セミというと、多くの人は成虫のセミを思い浮かべるでしょうが、セミの一生は、地面の中で暮らす幼虫時代が、最も長い期間です。実は、地面の中での暮らしぶりは分かっていないことが多いため、大雑把な内容です。でも、人の想像よりもはるかに快適かもしれません。

セミの生涯について

セミは成虫になって自由に飛び回れるのは、たったの7日間と言われていました。そのため、セミの生涯は短いものの代表として教えられてきました。

ところが、最近高校生の観察で、セミが、さなぎから成虫になって活動出来る期間は、もっと長いことが確認されています。本当のところは、確認できていなかったのでしょう。また、成虫になる前のセミは、セミの種類によって違いますが、地面の中で数年~16年間も暮らしていることが分かっています。

人の感覚では、地面の中の生活は牢獄のようなものと感じられます。

穴から出てからの数日間だけが、セミが楽しめるように感じてしまうため、セミの寿命は短いと言われてきたのでしょう。

でも、セミはそんな風には考えていないかもしれません。近年では、温暖化が進んで人の世界も地下の方が快適と考える人もふえています。次に、セミの生涯を大雑把に紹介します。

セミの一生

セミの産卵から成虫までの生涯を大雑把に紹介します。ただし、一般的なセミの生涯です。従って、セミの種類で内容は異なります。

セミの産卵

メスゼミは、木に卵を産み付けます。ただし、枯れ木や樹皮の裏などに産卵して生木には産みません。

生木に産まない理由

生木は、樹木が生きているため、親セミが産卵管で作った穴を、樹木が直ぐに修復してふさいでしまう可能性があるからです。セミの幼虫は、木から抜け出そうとしますが、自分の力では穴を開けられないため出ることが出来ません。そのため、セミは、枯れ木に産卵します。

尚、親セミが産卵した枯れ木の枝などを観察すると、ささくれた所があるのでわかります。メスゼミは、一度に150~600個もの卵を産むため、産卵場所のささくれ跡は目立ちます。

ふ化した幼虫の行動

ふ化した幼虫は、直ぐに産卵穴から抜け出して、地面に落ちます。そして、外敵に見つからないように一目散に地面に潜り込みます。

ふ化する時期は、セミの種類で違っています。早い時期に出現する、ニイニイゼミや、ヒグラシは、その年の秋ごろに生まれます。アブラゼミ、クマゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシなどは、産卵した翌年の梅雨に、ふ化します。

《ふ化》
ふ化とは、卵から幼虫が出てくることです。セミの場合は、幼虫が出て来て、地面に落下します。

尚、秋や梅雨の季節は雨が降って地面が柔らかくなるため、多くのセミは梅雨になるのを待って、ふ化します。

セミの幼虫時代

セミの幼虫は地面の中で木の根などから養分を得て、脱皮を繰り返しながら成長します。そして、数年から15年~16年経て、5回目の脱皮をすると、目が見えるようになります。目が見えるようになると、土から出てきます。そして、成虫になる羽化(うか)が可能になります。(日本のセミは、6年程ですが、アメリカには15年~16年間も幼虫で過ごすセミがいます)

地面の中で過す幼虫の期間はセミの種類によって異なっていて、ツクツクボウシは3年程、アブラゼミは5年程と言われています。

尚、幼虫が暮らす穴は、深さ20㎝~70㎝程度の所に、狭い空間を作って生活しています。
5令のセミは、晴れた日の夕方に地面から出て来て、木や草などを数10㎝~100㎝ほど登ったところで羽化(うか)を始めます。そして、翌日の早朝までに十分に体を乾燥させて、体がかたくなってから飛び立ちます。

《羽化》
羽化というのは、蛹(さなぎ)から出て来て、成虫になることです。

セミが暗くなってから羽化(うか)するのは、天敵から身を守るためと考えられています。

セミの成虫時代

セミは成虫になると木から木を飛び回って樹液を吸います。そしてオスのセミは、鳴いて過ごします。まるで短い一生を謳歌しているように見えますが、成虫のセミには、子孫を残すという大切な役目があります。

オスのセミは、一生懸命鳴いてメスのセミを呼びよせて子孫を残して死んでいきます。成虫のセミの周りは外敵が多いことから、長生きすることは難しいでしょうが、凡そ、1ヶ月の寿命と言われています。

まとめ

セミの生涯を見ると、成虫になって自由に空を飛び回れる期間は短いですが、意外に幼虫の期間は長いことが判ります。人から見ると、成虫になって飛び回れる期間だけがセミの人生のように感じてしまいます。

でも、セミの幼虫も楽しんで生きているのかもしれません。

何故なら、地中の温度は比較的安定していて極端な環境の変化もありません。もちろん、地中にいても外敵はいますが、成虫になって、鳥やスズメバチ、アリなどから襲われる心配は少ないでしょう。

幼虫時代のセミは、地面の中の狭い空間でじっとしています。そして、植物の根から摂取する養分は少ないでしょう。でも、樹木の根からのアミノ酸などを飲みながら、ゆっくりとした時間の流れの中で、妄想する楽しみは無限でしょう。

セミにとっては、人の想像とは別に、幼虫時代は、快適なのかもしれません。温暖化で地球のあちらこちらの環境が激変しています。案外地球の内部は住みやすいのかもしれません。

 

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