昆虫で鳴く虫は多いのですが、鳴き声の作り方は昆虫の種類で違います。鳴く昆虫の代表的なものには、セミ、コオロギ、キリギリス、それにバッタなどがいますが、それぞれ音声は違います。そのため音の出し方もさまざまでした。
今回は、セミの鳴き声はどうやって作っているのかを調べてみました。
鳴く虫の仕組みはどうなっているの?
セミの発音器の構造
セミの発音器は、お腹の辺りにあるポケットのような形の「腹弁(ふくべん)」と、発音膜を動かすための「発音筋」および「共鳴室」で構成されています。
「共鳴室」は、セミの腹部にある空洞です。
共鳴室の内部構造
「共鳴室」は、オスのセミにある特殊な空間で、音を拡大する役目をしています。「共鳴室」の中には、左右にある2つの「発音筋」があって、「共鳴室」の周囲を囲むように覆っている「発音膜」に接続されています。
「発音膜」は、「共鳴室」の膜ですが、タイコの皮のような役目をしています。また、音を感じる「こまく」も、「共鳴室」の「発音筋」下側(腹部側)にあります。そして、お腹の辺りにある「復弁」は、「共鳴室」内の「こまく」に接するように位置しています。
セミの発音器の音の出し方
セミが鳴く時は、「発音筋」を縮ませて、「復弁」を内側に引っ張って音を作ります。次に、「発音筋」を元に戻して、弱い音を作ります。セミの鳴き声は、この動作を繰り返すことで連続的な音を作っています。
この作られた鳴き声は小さいのですが、「共鳴室」で大きな音に拡大されるため、じりじりと太陽が照りつける夏の風景に響きわたります。
セミは、「発音筋」を縮ませ・戻すことで、「復弁」を振動させて音を作っていますが、その振動数はどのくらいなのでしょうか。
「復弁」の振動数
セミは「発音筋」を伸縮させて「復弁」を振動させることで鳴き声を作っていますが、その振動数は1秒間に2万回にもなります。もちろん、セミの種類によって振動数もちがいますが、1秒に2万回も繰り返しているとは、本当に驚きました。
共鳴室のないメスのセミのお腹の中は?
セミが鳴くのは、主に(メスを呼び寄せる求愛行動)と、(なわばりの主張)と言われています。尚、メスのセミは鳴かないため、腹部には、ポケットのような「腹弁(ふくべん)」も、「共鳴室」もありません。
まとめ
夏の照り付ける日差しの中で響き渡るセミの声は、暑さを余計に感じさせられますが、お腹の中に大きな空洞まで作って、鳴き声を作っていたのです。
また、「発音筋」の伸縮で「復弁」を振動させて鳴き声を作っていますが、その振動数は1秒間に2万回にもなるということを知って驚きを隠せません。そんな勢いで伸縮を繰り返したら構造的な劣化も激しいだろうなと考えてしまいます。
確かに、セミは成虫になって約1ヶ月の寿命と言われていますので何とか耐えられるのでしょう。でも、地球の温暖化で環境変わります。蝉も、穴から外に出てきて寿命も変わってしまうかもしれませんね。