昆虫は、定期的に脱皮を繰り返して成長します。記事では、昆虫が脱皮をする理由と、脱皮をする時のリスクを分かりやすくまとめて紹介しています。進化の過程で、昆虫が大型化しなかった理由も、きっと、納得するでしょう。
昆虫が脱皮をする理由
昆虫に触れると、小さい体の割には、硬いと感じます。
昆虫は、骨がない代わりに外骨格(がいこっかく)と呼ばれる硬い殻で、体を覆(おお)っているからです。昆虫の外骨格は、骨の代わりに体を支えています。
この外骨格(がいこっかく)は、表皮から出る分泌物が固まった、クチクラというものでできています。クチクラは、固まってしまうと、伸縮しないため、成長の妨げになります。
そのため、昆虫は定期的に体の皮(外骨格)を脱がなければなりません。これが、脱皮です。
昆虫の脱皮は、成長するために必須です。脱皮は、古い外骨格を、新しいものに取り換えていたのです。
脱皮をする時の昆虫のリスク
外骨格(がいこっかく)は、昆虫には無くてはならないロボットスーツのようなものです。ところが、外骨格は、硬くてサイズを変えられません。そのため昆虫が成長する時には脱皮は欠かせません。大きくなった体が入るように、少しだけ大きな外骨格に着替えているのです。
また、脱皮直後の外骨格は、柔らかくて体を支えられません。それだけでなく、外敵から身を守る鎧(よろい)の役目もしないため、身動きできません。
そのため、脱皮中や脱皮直後の昆虫は無防備状態です。
次に、「体の大きいカマキリの脱皮」と「脱皮を難しくしている昆虫の呼吸器官」について紹介します。これらを見れば、昆虫にとって、脱皮が如何に大変な行為なのかが分かります。
体の大きいカマキリの脱皮
オオカマキリのように体が大きいと、脱皮直後の柔らかい外骨格(がいこっかく)では、体重を支えられません。
オオカマキリは、この問題に対処するため、木の枝や草の茎などにぶら下がって脱皮します。
もしも、外骨格(がいこっかく)が固まる前に、落下してしまうと体重で体が変形してしまいます。このようにカマキリの脱皮は、行為そのものが命がけでした。
脱皮を難しくしている昆虫の呼吸器官
昆虫には肺がないため、腹部にある気門(きもん)という穴から酸素を血液に取り入れています。
気門(きもん)の穴は、細い管が枝分かれしながら、体の各部に入り込んでいます。これらの穴の表面もクチクラで作られているため、脱皮の時には新しいものと交換しなければなりません。
体が大きくなると呼吸器官も長くなるため、増々脱皮は難しくなります。多くの昆虫が小型ですが、これは脱皮による制限なのかもしれません。
まとめ
昆虫は、体を支えるために硬い外骨格で覆われています。そのため成長するたびに、古い外骨格を脱ぎ捨てて、新しい外骨格にしなければならないのです。これが脱皮をしなければならない理由です。
脱皮をする時の新しい外骨格は、柔らかくて鎧の役目をしません。そのため外骨格が固まるまでの昆虫は、無防備状態です。
また、ちょっと複雑な気門と呼ばれる昆虫の呼吸器官(穴の表面)も外骨格の一部です。そのため、脱皮も容易にはできません。
太古の地球では現在よりも高濃度の酸素量でしたが、現在の地球では 、低酸素濃度はです。現在の地球に小さな昆虫が多いのは、酸素供給量が少ないためでしょう。
昆虫は、気門のような複雑な器官があるのに脱皮しなければなりません。多分、進化の過程でリスクの増える体の大型化を止めたのでしょう。
昆虫の体が小さければ、脱皮をする時のリスクも少なくなるからです。